「女子サッカーを見つめる」ことは日本の育成全体を再考するヒントにつながる【1月特集】

2019年01月21日

育成/環境

なでしこの選手は女子サッカーに危機感がある

 小林氏の投稿を目にするまで、私は自分の落ち度に気づかなかった。

 それは記事内容が男子を対象としており、「女子チーム(クラブ)」を置いてけぼりにしていたことだ。4種が女子を統合して以来、無意識のうちにジュニア年代の問題といえば「女子選手のことが含まれる」と錯覚していた。だが、女子単独で活動しているチーム(クラブ)も全国には点在しているのだ。

 この場を借りて、女子単独で活動している方々にはお詫びしたい。

 この投稿を読んだ直後、すぐ小林氏にコメントを残し、メッセンジャーで取材を申し込んだ。同時に、ジュニサカWEB編集部に女子単独の特集を組むべきだと交渉し、1月の特集「女子サッカーを見つめる」の実施に至った。

 昨年12月に休刊したが、雑誌「ジュニアサッカーを応援しよう!」では2年半に渡り、若手のなでしこ選手の連載担当をしていた。JFA女子委員長の今井純子氏を皮切りに、9選手を紹介してきたが、「男子チームとの掛け持ち」などの苦労はいろんな選手の口からも出てきたし、必ず最後には「女子サッカーを盛り上げたい」という切実な思いが吐露された。

長野風花選手
田中美南選手
長谷川唯選手
北川ひかる選手 ※編集部取材
岩渕真奈選手
隅田凜選手
猶本光選手
清水梨紗選手
籾木結花選手

 正直、1月の特集だけですべてを語り切れるとは思っていない。今回をキッカケに「女子サッカー」に目を向けてもらい、サッカー界全体で定期的に考えてもらうことが企画の大きな狙いだ。

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【日テレ・ベレーザに所属する籾木結花選手】

 昨年、籾木結花選手が「5000人集客プロジェクト」を実施したのをご存知だろうか? 詳しい内容は、フットボールチャンネルのインタビュー【前編】【後編】をご一読いただきたい。11月の雑誌取材時でも「現状、女子サッカーの問題をどう捉えていますか?」と質問すると、こう答えた。

「問題は2011年のワールドカップ優勝を一過性にしてしまったことです。ただブームがあったからこそ残った人気もあるので、それを次にどうつなげていくのかが必要なことです。私が今回トライしたのは、集客を選手がデザインすること。それをお客様に行動として見せることで、選手の思いを認識してもらえます。この経験を糧に、今後は選手を起用したグッズ販売計画やチケット販売計画を増やしていけると思います。そうすればチームだけではなく、選手にファンがついていきます。女子サッカーは男子よりもそれが顕著です。より選手をブランド化して売り出していけたらと思っています」

 彼女は現役の慶應大学生でもある。専攻学部は「総合政策学部」。「なぜこの学部を選んだのか?」を問うと、こう語った。

「様々な分野での問題発見解決が大きなテーマの学部です。スポーツビジネスを学びたかったので一つに絞ることもできたのですが、この学部では政治や経済などいろいろな授業がある中で、様々な分野に対して『問題-発見-解決』を掛け合わせて学べると思いました」

 多角的な視点で物事を考えたいという純粋な好奇心でこの学部を選んだと思うが、少なからず「女子サッカーの現実」を見てきた背景も影響しているのではないだろうか。そうでなければ、選手の枠を超えてプロジェクトのプロデューサーを全うすることはできない。

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