質問のメリットは「無意識の意識化」。誘導されている問いかけでは「考える力」が育たない【3月特集】
2019年03月22日
コラム
3つの体験を知っていれば質問の仕方が変わる
——大人に対しても、子どもに対しても「話を聞いてくれた」という心を満たしてあげること、それと他の人と同じように話を聞くことは大事な気がします。
 
藤代「『話を聞き続ける』って難しいですよね。チームの場合は他にも人がいるわけですから。でも、話を聞くことは誰にでもできますし、一度しっかりと耳を傾ける姿勢によって信頼関係を築けます」
 
——1人では難しいのでクラブ内なら役割分担があると目が行き届くかもしれません。例えば、監督とアシスタントコーチの間で。家族の場合だと例えば、お父さんが聞き役で、お母さんが怒り役とかがあります。
藤代「私には『スポーツコミュニケーション学科』でとある大学の助教授をしている友人がいるのですが、体験には3つの種類があるそうです。1つ目は、体験自体が目的のもの。まさに遊びですね。これに対して『どんな学びがあった?』と問うのはNGだそうです。『今日楽しかった?』。それだけでOK。
 
 2つ目は、目的を持った体験。これは体験した後に振り返りを行うことで体験から学びを引き出すことが目的になるそうです。例えば、知り合いのクラブは毎年被災地に行っています。行った後にどんな学びがあったのか、どんな言葉が印象に残っているのか、それを誰に伝えたいのか、今後はどのように過ごしていきたいのか……。そういう質問をして、被災地で得たものを子どもたちがしっかりと発信する機会をつくることで学びにつなげています。この体験は、『質問』が最も効果を発揮できます。指導者の中には『あいつらが気づいてくれたらいいな』と放任している方もいますが、私はもう少し踏み込んだ方が良いと思っています。子どもたちに気づくキッカケを与えた方がいいかな、と。
 
 3つ目は、メッセージを目的とした体験です。駅ビルなどに入っている石けん店さんなどは、実際に商品を使って手を洗ってもらいます。『ツルツルになりましたね』とメッセージを伝えることを目的とした体験です。けれど、メッセージを目的とした体験ばかりだと誘導されているような感覚に陥る危険性もあります」
 
——やらされている感ですね。
 
藤代「スーパーの試食コーナーに行くと『食べたら買わなきゃいけない』みたいな雰囲気がありますよね。例えば、運動であれば、遊ぶだけが目的だから別に走り方とか姿勢とか気にせずに『とにかく楽しければいい』という体験も必要です。でも、それ以上が求められる場だと体験だけで終わらせないことも必要です。そういうことを環境をつくる側がきちんと見極めてやっていけば、子どもにとってはプラスに大きく働くことだと思います。今までは無意識でそれをやっていたけど、意識的にやったらもっとおもしろくなった、と」
 
——チームの段階や選手のレベルにもよります。当然、学年にもよりますし、例えばサッカーの町クラブだと4年生の途中から入部してくる子もいます。そこは指導者が個々に応じることが必要です。
 
藤代「指導者は、ついついメッセージ性ありきの体験を多くしてしまいがちです。そもそもトレーニングはそうじゃないですか? 一つ一つの練習メニューの中で『ここでミスをするよね』という部分を用意しておいて、『じゃあ、どうする』ということを選手に伝えたいから。それもわかりますが、もう少し違う要素も入れていいのかなと思います。あとは遠征や合宿の時に『学びを引き出すような時間を作る』というのも一つの方法です。考える機会を作って、それで終わりではなく、選手の考えを引き出すキッカケ作りをするといいのではないか、と。質問のメリットは無意識を意識化させることです。
 
 無意識に思っていることを、質問を受けることで意識的に『僕はこう思っていたんだ』と思えることです。私もこの間ある女の子から『どうしてこの仕事をしているんですか?』と聞かれて、その時は『楽しいからだよ』と答えましたが、よくよく考えるとなんでだろう、と自問自答がはじまりました。本当に『どうして』と聞かれたら少し時間がかかりますよね。正直まだ答えは見つかってないですし、質問にはそういう力がありますし、知らない自分を発見できます」
 
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 
												
												東北トレセン女子U-14が開催!2025.10.24
						 - 
												
												東北トレセンU-14が開催!2025.10.23
						 - 
												
												【JFAエリートプログラムU-14日韓交流戦】参加メンバー発表!2025.10.22
						 - 
												
												U-15日本代表、フランス遠征参加メンバー発表!【バル・ド・マルヌトーナメント2025】2025.10.21
						 
フットボール最新ニュース
- 
												
												鈴木唯人が貴重な先制点でチームを勝利に導く【23日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
						 - 
												
												日本人対決でリバプールが5Gで圧勝【22日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
						 - 
												
												バルセロナが6発大勝。エースもゴール【21日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
						 - 
												
												日本人選手所属ザルツブルクは後半AT弾で敗戦【25日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
						 - 
												
												ベティス、マンUから完全移籍の7番が劇的同点弾【24日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
						 
大会情報
- 
												
												【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
						 - 
												
												【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
						 - 
												
												【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
						 - 
												
												【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
						 
お知らせ
人気記事ランキング
- 大社少年サッカークラブが島根県大会を制覇!! 3年ぶり6回目の全国大会出場に歓喜/第40回全日本少年サッカー大会 島根県大会
 - 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
 - “早熟タイプ”か“晩熟タイプ”か。成長のピークはいつ訪れる? 子どものタイプを知ろう!!
 - 町クラブから選抜された選手たちがスペインで武者修行!バレンシアやビジャレアルなどと対戦
 - 東北トレセンU-14が開催!
 - 池上コーチの一語一得「欲がないように見える息子を何とかしたい」
 - 【ジュニア セレクション】SCH.FC(神奈川県)
 - 8/20 J1・FC東京vs横浜F・マリノス 20組40名様に観戦チケットプレゼント!
 - 試合に入るための効果的なウォーミングアップとは?「頭や心も練習の準備ができるメニューが理想的」
 - JFAアカデミー、2019年度入校生を募集開始!! 選考試験など概要を発表
 














