一人の力では限界があるGKメンタルの向上。育むのは仲間とコーチの支えだ【5月特集】

2019年05月15日

育成を考える

5月は「GKの育成に向き合う」を特集テーマに、二人のGKコーチに話をうかがっている。一人目は日本とタイでプロとして活躍し、町クラブでGKコーチを務めるノグチピント・エリキソンさん。第一弾では『子どもにGKの楽しみを感じてもらうことの重要性』『発育発達に合わせた練習の大切さ』などを聞いた。第二弾はフィールドプレーヤーとは異なるGKの特殊なメンタル、その育て方を中心に展開していく。
  
【5月特集】GKの育成に向き合う

文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部 取材協力●株式会社ビィズデザイン


 
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GKとしてのメンタルの根本的な捉え方

――ピントさんはGKはメンタルも重要だと、技術と同時にそこも大切にアプローチされています。ユース年代ではメンタル的にどういうことを大切にしていますか?

ピント「そもそもGKはメンタルの部分が非常に大きなウエートを占めているポジションです。例えば、先日、私がGKコーチを務めるグランデFCの試合があったのですが、1対7で負けてしまいました。春休みを活用したスペイン遠征でいろんな勉強をしたので楽しみにしていましたが、蓋を開けてみると大敗でした。
  
 GKに目を向けると、先日の試合では厳しいことを言わざるを得ない内容でした。選手に『いま自分にできることは何?』と聞いたら『声を出すこと』とパッと答えました。なので、『じゃあ、いま自分にしかできないことで、本当に声が枯れるまで喋った?』と聞くと、『いえ』と言ったので、『それで満足をしているの?』と重ねて質問すると『していません』と。私の目には『勝ちたい』気持ちがまったく見えませんでした。
  
 仲間に遠慮していたんです。少し話をしたら、どうも彼の言い方では『やろうとしている選手がミスしたときに“やれよ”と声をかけると、もっと気持ちが下がってしまうのではないか』ということを気にしていました。だから、『僕は遠慮しました』と。でも、唯一ゴールを守る専門のポジションとしてボールを手で扱えるGKが『そんな気持ちでやってんの?』って逆に思ってしまいます。
  
 だから、『それなら試合に出したくない。そういう気持ちでピッチにいるのなら、他に控えているGKに自分の代わりに試合に出ろと言うべきなんじゃないの』と伝えました。そこはもう技術うんぬんじゃないんですよね。
  
 メンタルをどう上げるか。『気持ちを上げる、場をピリッとさせる技術を気づかさせてくれた』選手がいたんです。柏レイソル時代、佐藤由紀彦さんが練習試合のときに教えてくれました。確か、日立台グラウンドだったと思います。佐藤さんはFWなんですが、私のちょっとしたプレーに対してすごく怒っていたんです。『怒られる理由がないのに、どういうこと?』って思って、『お前も集中しろ』って言い返していたんですけど(笑)。でも、そのやりとりが起こるとチームがピリッとして試合が引き締まったんです。みんながもっと集中するようになって。
  
 当時は佐藤さんがしていたことの意味が分からなかった。でも、ある試合後、本人が『ごめんな、さっきは』と謝ってくれて、『ムードを変えるためにわざとやったんだ』って言われました。子どもたちに伝えるんですけど、ムードが悪いからと遠慮をしていたらチームの雰囲気も上向きになりません。その逆で、チームメイトだからこそ言い合ったり喧嘩したりしてもいいんじゃないか、と。意見の交換として、意図して叱咤激励をする。それって戦っている姿勢をみんなに伝播させるGKのテクニックなんじゃないのかって。
  
 だから、グランデFCのGKの選手には『それをできなかったことは、いま向き合うべき課題だよ』と話をしました。せっかくスペインまで行っていろんなものを見聞きし、現地のチームと試合まで重ねて経験したのにそれを公式戦で爆発させられなかったのは、彼のというか、日本人GKの弱い部分だと思うんです。彼には『気づいてよかったね』と言いました。現役時代に長い間気づけなかったので。一人でメンタルを向上させていくことは、まずGKだけの力では不可能だと思うんです。仲間がいてこそ『どうメンタルを上げるのか』に向き合いますし、そのきっかけはコーチから作り出してもらう部分もないと全部は難しい。もちろん、ある程度までのメンタル要素は一人ひとりが持っていけるものだけど、その先のパフォーマンスにつながっていくところは仲間がいないとダメだし、コーチがいないとダメだと思います。
  
 仲間には演技でもいいから『ゴールを全力で守る』ところを見せないと伝わらない部分もあるから。不安そうな弱い顔つきでゴールを守っているところを相手にも味方にも見せてはいけません。隙を見せてはいけない。シュートを打たせても『あぁ』という顔を相手に見せてしまうと『あそこが弱いんだな』と思われて狙われます。そういう隙を見せない選手は賢いと思いますし、やっぱり試合でも起用されます。そういうことは高校生から意識すべきだと感じています。
  
 ジュニア年代では、その部分についてはそこまで意識しなくていいもいいと思っています。むしろ『楽しい』『おもしろい』『かっこいい』というような感情は思う存分に味わったほうがGKとしての根幹を形成するメンタリティが養えるような気がします。ユース年代では『相手に対してどう思われるか』までを、もうきちんと学んでいないといけません」

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