やればやるほどうまくなるのか? つらい経験をすればするほど強くなるのか? そこに本人の意志はあるのか【サッカー外から学ぶ】
2019年07月04日
育成/環境
絵をうまく描くために最初にやることは鉛筆削り?
スポーツ大国アメリカでは、幼少期に3つから4つ、ある程度専門性が高まる年齢でも2つ以上の競技をかけ持つアスリートは大勢いる。複数競技でプロになる選手もいるが、彼らに「競技の転向」という概念はなく、並行して続けてきた競技をそのまま続けているだけなのだ。日本で野球部からサッカー部、サッカー部から野球部に“転向”しようものなら裏切り者扱いされるという現実があるのとは根本から違う。
子どものころにとにかくいろいろな経験をさせればいいのか? 成冨さんは、一つのことに集中させてしまう日本型にも問題があるが、一番必要なのは、さまざまなことのベースとなる核の部分を指導することだという。
「美術という枠の中だけのことを考えても、基礎体力さえ養っておけば、他の分野に行ったとしてもある程度チューニングができます。例えば、最初から“油絵だけ”をやらせるのは、その子の可能性を奪っていてもったいないという以上に、基本を教えずに応用から始めるようなものなのです」
連載ではお馴染みの「8つの才能」を伸ばすためにも、成冨さんのいう“基礎体力”はのちのち重要になってくる。デッサンやクロッキーが基礎トレーニングとして重要なのはすでに紹介したとおりだ。
「日本でのデッサンは時間をかけて作品として書かれた練習のことを指します。練習でもあり、作品でもある。クロッキーとは“速書き”という意味があって5分とか10分で描きあげる。デッサンもクロッキーもうまく描けるようになるための“筋トレ”であることには変わりないのですが、クロッキーはもっとスポーティーで反射神経を鍛えるようなトレーニングです。見て描くという筋トレなので、油絵に進もうがマンガ家になろうが、造形家、彫刻家になったとしても絶対に役立つんです」
これを徹底する際には、教える側の専門や芸術的嗜好はほぼ関係ない。○○が好きだからこんなふうに教えるという話ではないのだ。
「もっと突き詰めると、鉛筆の持ち方が悪いだけでうまく描けない。なぜ思ったとおりに描けないのか悩んでいる人の中には、基本的な道具の使い方ができていない人も結構います。子どものときに鉛筆とカッターの使い方、正しい鉛筆の握り方、削り方を学ぶことは、将来的にどこに行ったとしても無駄にならないどころか自分の礎になってくれます。美術との最初の遭遇においては楽しく描けることがなにより大切ですが、鉛筆の正しい使い方を知らないと思い切り描けない。つまり楽しく描けないんです。子どものうちに学ぶことって複雑なことじゃなくていいんです」
サッカーでも、ファーストコンタクトはできるだけ楽しく。そこにはヨーロッパ流も南米流もない。そしてそこで楽しみながら得た最初の技術が、実はそのあとのサッカー人生に影響を与えているとしたら、わかっていたことだが、ジュニア年代の指導の責任は重大だ。
「プロになると何時間も毎日書かなきゃいけないので、体を壊さない道具の使い方、フォームを覚えてほしい。そうじゃないと腱鞘炎や姿勢が悪くて視力が低下したりして続けられなくなってしまうこともあるんです」
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 「JFA 第42回全日本U-12サッカー選手権大会」で輝いた8人の選手たち/ジュニサカMIP
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。