夏のスポーツ活動を再考する。議論すべき問題点は?
2019年07月10日
育成/環境
責任の取り方をみんなで議論する必要がある
――そもそも、その時期の公式戦を中止にしなきゃいけないものなのか、それとも大会運営の部分をきちんとする方向にいくのか。そこが選手たちにとっては大事なんじゃないかと思います。子どもたちにとってはスポーツをする環境は大事なことなので、やめるとなるとできないことになります。じゃあ、その間はどうすればいいんだってことになります。そこに対する議論をやっているのかな、と。
表向きに見ると「安心・安全」をうたう形で正義の決断に見えますが、でも見方によっては「責任を負いたくないから」とか、そういう風にも捉えることができます。個人的には“根本的な解決”というよりは責任を負いたくないから中止みたいな感じに映っています。
内田「責任を負うという発想はもちろん考慮すべきことです。例えば、学校の活動が炎天下でやれるのは、責任を負わなくていいからなんです。学校の先生って、法律上は国家賠償法の定めによって賠償金を払わなくていいんですよ。公務員全般がそうですけど、国が肩代わりしてくれるようになっていますから。公立校は子どもが亡くなっても、また翌年同じ数の子どもが入ってきます。だから、入学者数のことを気にする必要がないんです。倒れようが何だろうが、リスクをマネジメントするという切迫感が薄いんですよね。
そういった意味では、マネジメントというのは非常に大事なところだと思うんです。ただね、その子どもが死んだからやめるだとか、実はそのときにあまり深いところまで考えていないんですよね。
何が問題で、どうしたらいいのか、と。
考えないうちに全部やめていくから、結局、別の場所で同じような危険性があったとしても防げないですよね。そういう根幹的なところから考えていませんから。だから、何が問題であったか、『あー、暑いときやったからだよね。でも、夏ちょっとはやりたい子どももいるから、じゃあ夕方にやろうか』とかですね…そうやって本当に一つずつ考えていくというのが、リスクマネジメントで一番大事なことです。
そこで考えれば、当然ながら冬の練習だって別のリスクがあるかもしれなくて、そこで考えたことがまた生かされるはずなんです。そういう風に考えなきゃいけないんです。だから、そういう部分で東京都少年サッカー連盟での議論はどうだったのかなというのは気になります。
あと、夜間にやれるんじゃないのかとかですね。ただ、たしかに試合があると夏でも選手は絶対頑張ってしまいますし、夜間だけだと収まらないことがあるので、試合については『夏は外す』という意見には個人的に賛成ではあります。どうしても試合を中心に全部が回っていくので、そのために練習試合があって、練習があって、みんなが活動するものだから。でも、場所がなくて、『じゃあ夏暑いけど、外でやろうか』と全部がそう流れていくので、とりわけ炎天下の7~9月についてはそういう配慮でいいのかなと思います。議論のプロセスはわかりませんが、配慮っていう点ではいいかなと。ただ、きちんと議論したうえでの結論であってほしいとは思います」
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