偉大なGKになるための“必須条件”は? ジョアン・ミレッが追い求める理想のGK像【GKを準備する】

2019年07月12日

メンタル/教育

    
ジョアン・ミレッ

“偉大なGK”の条件
  
――ひとつ教えてください。ハイボールの処理やセービング、1対1の技術など、GKの特徴をジョアンはどういった分け方をしているのですか?
 
 すべて技術アクションの順番です。キャッチから入り、ポジショニングを学び、ケガを予防する…。こういった項目に沿った技術アクションがあります。
 
 この基準の作り方は、フィールドの選手にも応用できます。できるのですが、私が15年間にわたりスペインのサッカー協会で講師として行ってきたゴールキーパーの授業で「この考え方ってフィールドにも使えるよね」と言ってきた監督は倉本さんだけでした。
 
 ただこれを現場に落とし込むのは簡単なことではありません。
 
 ゴールキーパーの育成に必要な技術アクションをすべて「頭→実践」「頭→実践」という作業を繰り返して学ぶようにしています。とても時間のかかることですが頭で理解していなければ、実践したところで何にもならないからです。とにかくトレーニングをこなすようにやっても正しい技術は身につかないのです。
 
 私のトレーニングでは、選手が頭で理解できていないと感じたときは、体を動かさずにディスカッションのみでその日の練習が終わってしまうことがあります。(笑)
 
 例えば、キーパーコーチが実践しながら「ハイボールはこうやってキャッチするんだ」と教えたとしましょう。でも「ハイボールをこうやってキャッチしなければいけないのはコーチが言ったからではなく、これを自分の能力として使えるようにならなければいけないんだ」と、まず選手自身が理解しなければなりません。でないと、スランプに陥ったときに自分の力で立ち上がることができないからです。
 
――大事なことですね。
 
 かつてマンチェスター・ユナイテッドなどで活躍したピーター・シュマイケルは偉大なゴールキーパーでした。もちろん、技術アクションとしては正しい動きができていないことも多いんですが…。
 
 そのかわり、彼は頭も賢いし、すごく勇気のある選手でした。まったく恐れることなく予測して飛び出せたり、アタックに行くことができます。もし彼に技術的な考え方を伝えることができていたとしたら、とんでもない選手になっていたと思います。
 
 私が考える“勇気”というのは、何も考えずに突っ込んでいくことではなくて、突っ込んでいく際のリスクをちゃんと計算できるかどうかが重要です。リスクの分析を素早く行い、そのリスクを最小限にしながら自分で行くのかどうかを決断できる選手が、私の考える理想のゴールキーパー像なのかもしれません。
 
――ジョアンの言う“勇気”のあるGKは育てられるものなのでしょうか。
 
 はい。ゴールキーパーにカミカゼアタックではない“勇気”を持たせることは可能です。そのために私はゴールキーパーに必要な技術アクションを細分化し、指導しています。タイミングや動き方で恐怖心やリスクをコントロールできるようになりますから。
  
シュマイケル 父
【マンチェスター・ユナイテッドの黄金期を支えたピーター・シュマイケル】


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【連載】「ジョアン・ミレッはGKを準備する」


<プロフィール>
ジョアン・ミレッ
1960年11月1日、スペイン・カタルーニャ州出身。選手としてスペイン2部でプレーしたのち、1985年にテラッサ(2部)の育成GKコーチに就任。2000~2012年までゲルニカ(4部)のトップから育成までのGKコーチを務めた。2013年に来日し、湘南ベルマーレのアカデミーGKプロジェクトリーダーを経て、2017~2018年までFC東京のトップチームGKコーチ。現在はJFL奈良クラブのアカデミーGKダイレクター。

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