“いい選手”は「2つのラインの交点に立つ」。ポジショニングに必要な「ボールなしペアリング」とは?
2021年10月19日
戦術/スキルサッカーを始めたばかりのジュニア年代の選手たちプレーすると、ボールに群がる「だんごサッカー」になるのはよくある光景だ。フットボールスタイリストの鬼木祐輔氏は著書『サッカー いい選手の考え方 個とチームを強くする30の方法』で、「ボールなしペアリング」の考え方を説いています。サッカーに必要な本当の意味でのポジショニングとは、いったいどのようなものなのだろうか。10月21日に発売される本書から一部抜粋して紹介する。
『サッカー いい選手の考え方 個とチームを強くする30の方法』
文●鬼木祐輔 イラスト●タカハラユウスケ
ボールへの意識だけが強いと…
英語に「pairing(ペアリング)」という言葉があります。辞書には「ペアにすること」とあります。転じて「つなぐ、接続する」という意味もあり、音楽デバイスと無線イヤフォンを接続する時に「ペアリングする」と言ったりします。サッカーでも「ペアリング」の考え方が必要です。本書では、スペースや味方選手を認識し、つながりができたことを「ペアリングした」と言います。
ペアリングでは、何とつながるかを考えます。ボールやボールホルダーとのつながりを「ボールありペアリング」、それ以外の味方やスペース、ゴールなどとのつながりを「ボールなしペアリング」と呼びます。
ボールやボールホルダーとのつながりを「ボールありペアリング」と呼びます。サッカーはボールがもっとも強くペアリングされる競技です。したがって、特に何も意識しないままサッカーをプレーすると、ボールとのつながりが自然に強くなります。サッカーを始めたばかりの子どもが、ボールに群がって「だんごサッカー」になるのは、典型的な例のひとつです。
サッカーは、ボールをゴールに入れて得点を争う競技なので、ボールありペアリングは必要です。一方で、意識的にボール以外のものとつながりを作らないと、他の味方選手、相手選手、スペースの認識が弱くなってしまいます。
「本当の意味でのポジショニング」。“いい選手”は常に…
より具体的に見てみましょう。例えばDFラインでボールを回している時に、ボールをもらうために中盤が下がってボールを受けるのは、ボールホルダーに対するアクションの典型的な例です。この時、次への展開や別の視座で覗けているなら問題ありませんが、実際には下がってボールを受けて、前を見て、何もできないためまたバックパス、というプレーが多く見られます。こういったボールありペアリングのみのプレーは、特に狙いがあってパスを回しているわけではないので、どこかのタイミングで相手のプレッシャーに負け、ボールを奪われてしまうことが多いのです。
ボールやボールホルダーとつながる「ボールありペアリング」に対して、それ以外の味方選手、相手選手、スペース、ゴールなど、ボール以外のものとのつながりを作ることを「ボールなしペアリング」と呼びます。「ボールなしペアリング」が多い選手ほど、プレー中にたくさんの視座を持ち、状況に応じて視座を変えることができます。
ボールなしペアリングは、自分にボールが入る前に、味方選手やスペースなどとのつながりを作るため、「『今』の形から『未来』を見る」考え方を踏まえると「未来」にあたります。
ボールなしペアリングの有無で、実際のプレーでは何が変わるでしょうか? ひとつが立ちどころです。自分が味方からパスを受けようとする時、ボールホルダーから自分へのパスコースを確保する選手は多いと思います(ボールありペアリング)。今ボールを持っている選手に対するサポートは、比較的多くの選手が意識できることです。
しかし同時に、次にプレーしようとする味方やスペースとのつながりを持つことがとても重要です(ボールなしペアリング)。“いい選手”は常に次のプレーや景色を覗きながらプレーしているため、ボールホルダーと同時に、その次のつながりを持ってプレーしています。
ボールありペアリングとボールなしペアリング。このふたつのラインの交点に立つことが、本当の意味でのポジショニングなのです。
全文は『サッカー いい選手の考え方 個とチームを強くする30の方法』からご覧ください。
【商品名】サッカー いい選手の考え方 個とチームを強くする30の方法
【著者】鬼木祐輔
【発行】池田書店
【発売日】2021/10/21
【書籍紹介】
読むだけで、個とチームが強くなる「いい選手の最新定義」
フットボールスタイリストの著者が世界のトップレベルのサッカー指導に関わる中で得た体験と経験を紹介する。1章、3~6章では20の考え方。2章では15の動き(カラー写真解説)を紹介することで、35の個とチームが強くなる方法を解説している。
鬼木コーチの伝え方の特徴は、プレーイメージを大切にする独自のワードセンスと、動作よりも意識を重視する指導方法だ。本書では、できるだけ多くの人に伝わるようイラストで解説している。
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