なぜベルギーは世界的なタレントを輩出できるのか? 国内トップクラスの育成組織に聞くシビアな環境【インタビュー前編】
2021年11月12日
育成/環境ベルギーが注目を集める理由
一方で、ベルギーの選手たちは非常に恵まれた環境にいます。イングランドは特にベルギーに注目していますし、隣国のオランダやドイツにも行きやすい。裏を返せば、隣国のクラブの方が資金面などで優位に立っているため、(直近7シーズンでリーグ優勝5度を誇る)クラブ・ブルッヘでさえも選手を引き抜かれてしまう立場なんですね。
ベルギー代表が強くなったのは、国内の育成環境が改善されてきたことも要因の1つですが、他国のクラブが大成する前の若いベルギー人選手に投資するようになったのも大きいと思います。成功例がいくつも確立されて、ベルギーの育成年代の選手たちにはより注目が集まるようになっています。STVVのU-18やU-15、時にはU-11の試合にも、毎週末PSVやアヤックスのような強豪クラブのスカウトが足を運んできますからね。
――ベルギーにはクラブ・ブルッヘやアンデルレヒトなど育成の名門として知られるクラブが多くありますが、その中でSTVVはどんな立ち位置なのでしょうか。
ベルギーにはアカデミー組織に対するクラブライセンス制度があって、その中で上位12クラブが「エリートA」というカテゴリに入ることができます。STVVは5年ほど前から「エリートA」に入れていて、その中での順位はブラックボックスになっているのですが、肌感覚では8番目から10番目くらいだろうと思っています。
5年前まではアンデルレヒトやクラブ・ブルッヘと対戦しても0-8や0-9で負けるのが当たり前で、0-4でも「今日は頑張ったね」というレベルだったそうです。それが今年はU-13やU-14が「エリートA」でも上位にいますし、強豪クラブと対戦しても「STVVとやる方が、他の強豪クラブとやるより有意義だ」と言ってもらえるようになりました。
世代別代表に招集される選手も2、3人出てきていますし、先ほども述べたように毎週末のリーグ戦にオランダやドイツのクラブのスカウトが視察にやってきます。
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