「球際」は単なる気持ちやフィジカルの問題ではない。頭脳戦を体現するために必要なベーシックスキルとは
2022年12月05日
戦術/スキル球際が強い選手とはどのような選手をイメージするだろうか。恵まれた体格を生かして相手にタックルして勝つ選手を思い浮かべるのではないだろうか。しかし、そういった球際での戦いは単なるフィジカルだけの問題ではない。かつて、大阪府立高槻南高校(現・槻の木)を選手権に4度導いた悦勝公豪氏の考えを、6日発売の『フットボール批評issue38』から一部抜粋して紹介する。
文●孫勝基
(写真●Getty Images)
サッカーの本質に触れるには ベーシックスキル習得が必要
サッカーの醍醐味である頭脳戦を体現するためには、秩序を理解するのと同時に、「ベーシックスキル」が必要不可欠になってくる。
「スピード勝負とテクニック。体格で大差がついたら、相手側は何も工夫する必要がない。工夫することなく試合に勝ててしまう。なぜなら、単なるアスリートとしての能力勝負をすればいいだけだから。ボールを止められない、飛ばせない、または走れない。こうしたテクニック、フィジカル勝負で大差がついた時点で、工夫がいらなくなるので、お互いに面白くないんですよ。だからこそ、将棋や囲碁のような頭脳戦の面白さを体現できるようになるためには、一定のテクニックやフィジカルが必要ですよ、ということです。ベーシックスキルが伴ってくると、当の面白さが出てくる。相手が必死こいて汗をかいて走りまくって攻めてくるのを、嘲笑うかのようにカットすることができたら、これほど面白いものはない」
実は「球際」も、ベーシックスキルが求められるプレーの一つだ。球際とは、相手と接触しながらボールを扱う、もしくは、ボール保持者に対し接触しながらボールを奪うプレーと定義できる。そして、この攻防における勝率の高い選手が、球際に強い選手とされる。
「ショルダーチャージという言葉がありますが、世界のトッププレーヤーが、ショルダーでチャージしているシーンなんかほとんど見ない。南米の選手なんか特に。トップをよく見ると、球際も一つのテクニックだということがわかります。例えば、相手を押さえる部分で、相手が動けなくなるような体のポイントを把握している。胸椎はロックすれば動かない、だとか。体の使い方の急所を実は熟知しています。球際は単なる気持ち やフィジカルの問題ではないんですね。腕の使い方や捻り方、体を入れるタイミングなど、駆け引きやテクニックが大事なんです。こういった細かい要素にまで分解して習得させることが、頭脳戦に持っていく上で大事です」
全文は『フットボール批評issue38』からご覧ください。
【商品名】『フットボール批評issue38』
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2022/12/06
【書籍紹介】
特集:【永久保存版】高校サッカーの名将は死なない
すべての指導者に贈るサッカーのい・ろ・は
2019年に講談社から刊行された『高校サッカー100年』の7年前、100年史の予行演習版のような『高校サッカー90年史』が出版されていることをご存じだろうか。90年史の制作に携わった関係者に出版の真意を聞くと、「早めにやっておきたかった企画もあったので」という答えが返ってきた。
“早めに”が何を言わんとするかはそれぞれの想像に任せるとして、高校サッカーの名将から発せられる言葉は、時にサッカーの、時に人生の本質を抉ってくるものが多い。もちろん、その言葉には本音と建前が混ざり合っている。表と裏を使い分けているからこそ、高校サッカーの名将たちの言葉は生き続けていくのだろう。
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