支援希望は年間400人。直面する厳しい実態と現役Jリーガーが広げる支援「日本では馴染みがなく想像しづらい」

2024年04月26日

メンタル/教育

4月20日、レモンガススタジアム平塚で行われた明治安田J1リーグ第9節、湘南ベルマーレ対ヴィッセル神戸に、4家族が招待された。企画した齊藤未月と「love.fútbol Japan」に話を訊き、子どもたちがサッカーをプレーできない現実や、招待企画が持つ意義を伝える。

取材・文●加藤健一(ジュニアサッカーを応援しよう!編集部)



(写真●Vissel Kobe)

大怪我からの復帰を目指すプロサッカー選手が起こしたアクション

 プロサッカー選手のプレーを見て、自分もそうなりたいと思ったり、何かを頑張る原動力になることは決して少なくない。レモンガススタジアム平塚には、ヴィッセル神戸に所属する齊藤未月に質問する子どもたちの姿があった。4月20日、気温20.8度の晴天の下で行われた明治安田Jリーグの試合に招待された子どもたちにとっては、特別な日になったのかもしれない。

 企画の発端は1人の選手の怪我だった。

 昨シーズン、湘南ベルマーレからヴィッセル神戸に期限付き移籍していた齊藤未月は、主力として神戸の躍進を支えていた。しかし、シーズンが後半に差し掛かった8月、試合中の接触で左ひざを負傷し、全治には1年を要するという診断が下った。

 痛々しい負傷から約10日、1つの企画が立ち上がった。「未月とトモニ!」と題されたこの企画は、神戸と湘南、そして前のシーズンに齊藤がプレーしたガンバ大阪が共同で企画したもので、オリジナルタオルが販売された。集まった収益は日本プロサッカー選手会を介してクラブ、齊藤らが検討した結果、Jリーグの試合へ招待するために使われることになった。

 今回の試合に招待されたのは、神奈川県に住む4家族。怪我からの復帰を目指す齊藤はこの試合に出場することができなかったが、試合後には齊藤と子たちが触れ合う時間が設けられた。

 齊藤は招待された子どもたちから「どうやったらシュートを決められますか?」「どうやったら上手くなりますか?」と質問されたという。自身の少年時代を思い出しながら、齊藤は「サッカーがうまくなりたい」という素直な気持ちの大切さを感じていた。

「僕は小学生、中学生のときに、本当に自由にサッカーをプレーさせてもらっていた。好きなことをやって、辛いこともたくさんあったかもしれないけど、結果的に楽しさが上回ったし、何かに縛られるようなことはなかった」

 しかし、サッカーがしたくてもできない子どもたちがいる。プロサッカー選手のプレーを見たくても見られない子供たちがいる。

【次ページ】直面する現実

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