決める快感よりも止める優越感。“天井”がないGKの面白さ
2019年05月26日
育成/環境川島永嗣は2010年の南アフリカW杯から2018年のロシアW杯まで、すべてのゲームで日本のゴールマウスを守ってきた。川島少年は幼少期のころから将来GKになることしか考えていなかったという。シュートを決める快感よりも止める優越感――。6月に行われるキリンチャレンジカップとコパ・アメリカに臨む日本代表に電撃復帰した最年長GKが子どものころから思考してきたGK論とは?
『新GK論』より一部転載
文●田邊雅之 写真●田中伸弥、Getty Images
GKにしか体験できないプレーの重さ
――そもそも川島選手の場合は、どうしてGKになったのですか?
川島「子どもの頃から、それしか考えなかったですね」
――FWでもなく10番でもなく、最初からゴールを守りたいと。
川島「ええ。思っていました」
――GKに憧れるようなきっかけがあったのでしょうか?
川島「友達とサッカーをやり始めた頃には、もうそういう感じでしたね。小学校の頃のチームは逆にGK以外のポジションの選手が足りなくて、フィールドをやることのほうが多かったんですが、僕自身はいつもGKをやりたいと思っていましたから」
――他のGKの方々と比べても、かなり珍しいケースですね。ましてや小学校の頃は、GKはボールが当たって痛いし、ゴールも決められないということで、敬遠される傾向が強いのが実情です。
川島「むしろ僕に言わせれば、こんなに楽しいポジションはないと思いますけどね。ハードなポジションかもしれないけど、やはりシュートを止めたときのある意味での美しさとか、練習で100本のシュートを止めるトレーニングをしても、それが試合で1回出るか出ないかというプレーの重さであるとかは、GKにしか体験できない。それにGKはセーブでチームも救えるし、試合も変えられる。何よりも単純に見ていて、面白いポジションだと思いますしね」
――小さい頃から、練習通りのセービングができたときに、一種の達成感を覚えるケースが多かったのでしょうか?
川島「自分の場合はシュートを決める楽しさよりも、シュートを止める優越感のほうがどう考えても強かったですね。FWをやってシュートを決めれば、うわーっと気持ちが高まるけれど、僕にとっては、本当に充実感が湧き上がるような喜びじゃないんです。それよりもコンクリートの上でも横に飛んでシュートを止めたときに、友だちが驚く顔見るほうが嬉しかったですし」
――そういう喜びを、子どもの頃から感じていたというのは示唆的ですね。たとえば陶芸の職人さんは、100個の作品を作って99個がだめでも、1個完璧な作品ができれば、すべて報われるというようなことを言いますが、それに近いものがあるような印象を受けます。
川島「本当にそうですね。練習で何本止めても意味がないし。それこそ99本止めたからといって、試合中の1本が止められるわけでもない。でも、その1本のために99本があるわけで」
カテゴリ別新着記事
ニュース
- U-15日本代表、クロアチア遠征メンバーを発表!2024.05.03
- 【AFC U17女子アジアカップ インドネシア2024】U-17日本女子代表メンバー発表!2024.04.15
- 「JFAナショナルトレセンU-12関西」が開催!2024.04.11
- 「東北トレセンU-13」が開催!2024.04.10
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.22
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.22
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.22
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.22
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.22
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- U-15日本代表、クロアチア遠征メンバーを発表!
- 栄養も食事量も“バランス良く”/小学校1・2年生向けの一日の食事例
- ストップ動作、反転動作に使う筋肉を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 2019年度「JFAフットボールフューチャープログラム トレセン研修会U-12」参加選手768人を発表!!
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 「JFAナショナルトレセンU-12関西」が開催!
- 人口450万人の小国・クロアチアから“天才”が輩出され続ける理由
- 「軽い」と言われる選手は重心移動ができていない!? 守備力向上のヒントを探る
- アンリと同じく”神童”ではなかったハリー・ケイン。世界屈指のストライカーが持つ「努力する才能」