鹿児島に行けなかった悔しさを力に変えて、JACPA東京が初代チャンピオンに輝く!!/CHALLENGE CUP
2020年01月08日
ジュニアサッカーニュース取材・文・写真●山本浩之

全国大会と変わらないレベルの高さ
2019年12月26日(木)から28日(土)まで、群馬県前橋市のコーエイ前橋フットボールセンターにて第1回目となる『CHALLENGE CUP U-12 Supported By XF』(以下、チャレンジカップ)が開催された。この大会は『JFA 第43回全日本U-12サッカー選手権大会』(以下、U-12選手権)の関東各都県予選のベスト4(優勝チームは除く)と、準々決勝(ベスト8)で優勝チームと対戦したチームに優先的な出場権が与えられ、関東1都7県から各4チーム全32チームが参加した。
主催は関東サッカー協会ではなく、群馬県サッカー協会、群馬県サッカー協会少年サッカー連盟、前橋市サッカー協会となっている。大会の趣旨を要約すると「U-12選手権で惜しくも決勝大会に進むことができなかった関東各都県予選の上位チームにレベルアップとチーム間の交流ができる場を提供する」といったところだろうか。群馬県サッカー協会の事務局長・勝山登氏にチャレンジカップ新設の経緯を尋ねると「U-12選手権の都県大会で奮闘した選手たちへの“ご褒美”のような意味もあります。小学6年生の選手たちに残りわずかとなったジュニア年代の思い出として、前橋フットボールセンターで、サッカーを思う存分楽しんでもらえたらとい感じです」と答えてくれた。会場のコーエイ前橋フットボールセンターは、天然芝のフルコート4面と少年サッカーサイズの人工芝コートを2面持っている。
競技は15分ハーフの8人制サッカーで行われた。初日と中日はリーグ戦、最終日のトーナメントで順位を決定する。優勝を決める1位トーナメントにはFC中原、新座片山FC少年団、JACPA東京FC、川崎フロンターレの4チームが進出し、JACPA東京FCと新座片山FC少年団が決勝に駒を進めた。
決勝戦ではJACPA東京FCが勢いを見せた。新座片山FC少年団が強いフィジカルでゴールを狙うのに対して、JACPA東京FCはサイドからの素早い突破で圧倒した。前半10分の先制点は18番・青木彬朗くんが頭で合わせたものだ。
「僕がファーサイドに走り込んできたところに右サイドから良いボールが来たので頭で押し込みました。今までヘディングで決めたことはあまりありませんが――そうですね、新しい武器になったらいいですね(笑)」(JACPA東京FC・青木彬朗くん)
さらに12分、JACPA東京FCはまたしても右サイドを抜け出すと、今度は9番・藤井漣祐くんのシュートがゴールネットを揺らした。
「サイドからの折り返しがグラウンダーで入ってきたのでダイレクトで合わせました。いつも、あそこにポジションを取ってマイナスのボールを待っているのですが、決め切ることができない試合もありました。今大会ではゴールを決めることができたので良かったです」(JACPA東京FC・藤井漣祐くん)
JACPA東京FCは、2点をリードして迎えた後半もサイドのスペースをうまく使った。追加点こそ奪えなかったが、ボールウオッチャーになっていた新座片山FC少年団の隙をついて、何度となくフリーの選手がペナルティエリア内に飛び込んだ。守っても新座片山FC少年団に反撃の糸口をつかませることはなく、試合はそのまま2-0でタイムアップとなった。
決勝では見せ場を作ることのできなかった新座片山FC少年団。ハーフタイムのベンチでも下を向いている選手がいて、どこか元気のない印象もあったが、表彰式を終えて集合写真をお願いすると「やっぱり上着は脱いだ方がいいですね」と言って、みんなユニフォーム姿で並んでくれた。寒い中、申し訳なく思いながらシャッターを押したが、ファインダー越しの選手たちには笑顔が戻っていた。
優勝を決めたJACPA東京FCは斉藤健太コーチに話を聞いた。
「U-12選手権の都大会では準決勝でヴェルディさんに敗れて、この子たちは悔しい思いをしました。(チャレンジカップには)『俺たちが鹿児島に行ったとしても、全国のチームを相手に十分戦えたぞ!』と言い切れるぐらい立派な姿を見せようということで臨みました。決勝の相手である新座さんとは交流があるので、お互いに特徴は熟知していました。だから特徴の消しあいになったと思います。うちが勝つことができたのはミスが少なかったからだと思います。今年最後の大会だったので優勝で締め括ることができて良かったです。『終わり良ければすべて良し』ですね」
JACPA東京FCにとって、チャレンジカップは“悔しさを力に変えるための場所”だった。思えば全国大会が『全日本少年サッカー大会』で“全少”と呼ばれていた時代には、今の『フジパンCUP 関東少年サッカー大会』がその役割を担っていたのかもしれない。当時の関東少年サッカー大会は“全少”の関東各都県予選で2位から4位になった全24チームが出場して、“全少”と遜色のない強度の高い試合を繰り広げていたものだ。やがて“全少”は夏から冬に移行されたが、関東少年サッカー大会“はこれまで通りの夏に残ったため“全少”の予選結果とは切り離されて、出場チームは関東各都県の予選会で決定するようになっていった。
今後、チャレンジカップはどのような大会へと進化していくのだろうか。当然、選手やチームが目指すのは全国大会の出場権かもしれないが、チャレンジカップでも負けず劣らずのハイレベルなゲームができたら素晴らしいと思う。出場チームが関東1都7県から全国へと広がって“裏選手権”のようになるのも面白いかもしれない。願わくは、子どもたちがサッカーやサッカー以外のことにも “挑戦(チャレンジ)”できる、年末恒例のイベントとして定着してほしいものだ。
――最後に、もうちょっとだけ書かせて頂く。閉会式のとき、群馬県サッカー協会の総評で「後ろにあるのは、赤くはありませんが赤城山です」と話があって選手たちはクスッと笑っていた。そういえば、2016年『JA全農杯チビリンピック小学生8人制サッカー大会 in 関東」』の群馬県大会では、閉会式のときに寒さに身をすくめていた選手たちに「今日は強い風が吹いていますが、これが上州名物の空っ風(からっかぜ)です」と話があったのを思い出した。
 
 チャレンジカップの最終日も、時折赤城山の方から強くて冷たい風が吹いていたが、体が冷え切る前に閉会式も終わった。満車だった駐車場も13時半には閑散としていた。ジュニアサッカーのイベントとしては、かなり早いお開きになるだろう。
帰り支度をしていたところで、神奈川県横浜市から参加していた大豆戸フットボールクラブの末本亮太コーチに会った。「これから富岡製糸場にみんなで寄ってから帰るんです」と教えてくれた。大会初日の大豆戸FCのTwitterには、群馬県の特産品のテーマパークに立ち寄っている様子が投稿されていた。「お昼には群馬県名物『鳥めし』も頂きましたよ。子どもたちは中学生になったら忙しくなりますからね。こうやって時間が取れるのも今のうちだけかもしれないですからね」と言って末本氏は会場を後にした。
子どもたちは訪れた土地で、サッカーをプレーするだけではなく、サッカー以外のことも楽しみ、知ることができる。――そんな機会があるのは、とても素敵なことだと僕は思う。
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