【第24回関東選抜少年サッカー大会】決勝レポート

2013年12月09日

大会情報

神奈川TCがPK戦を制し、3連覇を達成!!

12月7日(土)、8日(土)の2日間に渡り、茨城県ひたちなか市総合運動公園で「第24回関東選抜少年サッカー大会」が開催され、神奈川TC (以下、神奈川)がPK戦の末、茨城県トレセンU-12(以下、茨城)を破り優勝を果たした。

参加したのは、関東8都県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県、茨城県、栃木県、群馬県)から選抜された16チームと、東北6県(青森県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県、福島県)、長野県、新潟県の各県より1チームの計24チーム。

試合は8人制によって45分間(15分×3ピリオド)で行われ、各ピリオドで選手は総入れ替えとなるため、1チーム24人の登録選手は、全員が均等に出場する機会を得ることができる。

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神奈川は、予選リーグF組を1位で通過し、2日目の決勝リーグは2戦全勝。準決勝では山梨県TC・Gを相手にスコアレスのままで突入したPK戦を2-1と制し、決勝まで勝ち進んできた。一方の茨城は、予選リーグF組を神奈川に次ぐ2位で抜けると、決勝リーグは2連勝。準決勝では新潟県TC・U-12を2-1で破ってのファイナル進出となった。

決勝のキックオフは午後2時。第1ピリオドは、両チームともに、ゆっくりとした立ち上がりだったが、やがて神奈川のエンジンが掛かりはじめる。「1本目は攻撃能力のある選手が多い」との神奈川・市川信之監督の言葉通り、細かいパスをつなぎながら、茨城陣内深くまでドリブルで切れ込んでいった。ところが10分のことだ。神奈川は、ピッチをワイドに使う茨城に先制されると、2分後には追加点も奪われてしまう。「僕ら、第1ピリオドのメンバーは、次のピリオドに出場する仲間たちに緊張感を与えないでバトンタッチできるように、先制点を狙っていたのですが、結果的に2点も取られてしまいました」と神奈川の8番・曽木聡くんは悔しそうに振り返った。

第2ピリオドになっても、茨城の堅守に手を焼いていた神奈川だったが、27分になって、スピードあるドリブルで再三のチャンスを演出していた19番・松田詠太郎くんが抜け出して強烈なシュートを放つ。一度は茨城のゴールキーパーに弾かれるものの、こぼれ球を自身で蹴りこみ1点を返した。

スコアは2-1と茨城が1点をリードしたままで第3ピリオドに突入するが、35分になって神奈川は同点に追いついた。体調不良により欠場した選手の代役として、このピリオドにも出場していた松田くんが俊敏性のあるプレーで2得点目をあげたのだ。「このチームは、一人ひとりの選手に個性が溢れていますが、とくに彼(松田くん)のスピードと躍動感のあるプレーを、いろいろな人達に見てもらいたいという思いがありました」と市川監督の采配が的中した形だ。

さらに神奈川は、中盤に差し掛かってから、「ここは、がんばるぞ!!」とゴールキーパー22番・高橋昂大くんが、フィールドに立つ7人の仲間を激励すると、まるで、その声に反応するかのように茨城のすきをついて攻め込み、24番・佐藤宇くんが技ありのゴールを決めて、3-2と勝ち越しに成功する。

しかし、神奈川の喜びも束の間のこと。すぐさま茨城に追いつかれてしまう。11番・瀬尾優之介くんが、非常に速い判断力を生かした素晴らしいゴールを決め、同点に追いつく。結局、45分間では決着がつかず、3本勝負によるPK戦へと突入した。両チームともに3選手がゴールを決めたため延長に突入するが、茨城は6人目のキッカーの放ったボールがクロスバーを叩く。神奈川は、いよいよ“決めたら優勝!!”の重圧のなか、15番・小林夏生くんが落ち着いてゴールネットを揺らした。

決勝で2得点をあげた殊勲の19番・松田詠太郎くんは「決勝戦は楽しむことができました。この大会では、すごく成長することができたと思います。トレセンに参加して、シュートや状況判断の上手い選手と一緒に練習や試合をすることができたので、これからの自分のプレーに取り込めるようにがんばっていきたいです」とコメント。そして「みんなの心がひとつになって、互いに励まし合うことのできるいいチームでした!!」と満足した表情でトレセン活動を振り返った。

優勝した神奈川・市川信行監督は「もちろん試合ですから勝ち負けもありますが、この年代では、今までの練習で取り組んできたことに対して、『どれだけ、できたのか?』を見極める場でもあると考えています。そういった意味からも、この大会のレギュレーションのように、登録している選手全員に出場機会が均等に与えるのは、いい試みだと思います」と語った。

その視線の先には閉会式に臨む参加全24チームの選手たちの姿があった。そこにはベンチを暖めていた控え選手は誰一人として存在しない。この2日間を通して、すべての選手が平等に経験を積むことができたはずだ。それは、この大会が「選ばれた子どもたち」のために用意された舞台だからではないと思う。どんな少年サッカー大会でも、子どもたちが公平に試合を経験することのできる仕組みは検討できるだろう。確かに、チームによっては、大所帯であったり、選手が足りなかったりという事情があるかもしれない。けれども「ジュニア年代のサッカーで一番大切なもの」を考えてみれば、何を優先しなければならないかは、おのずと見えてくるのではないだろうか。

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■優勝 神奈川TC・市川信之監督のコメント
これで3連覇ということですが、選手は、毎年入れ替わりますので、今年優勝した選手からしてみれば、この大会は、はじめての経験ですし、はじめての優勝です。だから、連覇ということではなく、彼らが成し遂げた今大会の優勝という結果をしっかりと喜んであげたいと思います。神奈川TCでは「ゴールを奪う・ボールを奪う」をテーマに活動してきましたが、このテーマは来年以降も変わりませんので、選手たちは、所属チームに戻ったときに、トレセンで経験したことを下級生たちに伝えられるような役割を担ってほしいです。

(文●山本浩之 写真●編集部)

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