イタリア流判断力トレーニング――攻守の「セオリー」を身につけることが判断力向上へつながる【前編】
2014年01月29日
サッカー練習メニューサッカーは、各選手にいろいろな局面でさまざまな判断を求められるスポーツです。サッカーにおける判断力とは何か、どのようにして伸ばしていけばいいのか、かつてイタリアでU-12、U-16チームの監督など4年間の指導者経験を積まれた河村優氏(元・アルテリーヴォ和歌山監督)に攻撃・守備両面から話を聞きました。
文●貞永晃二 写真●Getty Images
※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.19冬号』P046-049より転載
攻撃における判断
例えば、「2対1」(攻撃A・B、守備C)の局面(Aがボール保持)があるとします。ここで、攻撃側がすべきことの優先順位は決まっています。
まずAは①「シュート」を考える。
↓(Cにコースをふさがれたら)
次にAは②「ドリブル突破」を狙う。
↓(Cはドリブルを阻止しようとするため、スペースが生まれたら)
AからBへの③「突破のラストパス」
が狙える。
↓(このときCがこのコースもふさぐポジションをとったとしたら)
④Aは「シュートに結びつけるために有
効なパス」を選ぶ。
↓(これも抑えられたら、Cにとられないように)
⑤「バックパス」を選ぶ。
イタリアなど強豪国の指導者は、この優先順位=セオリーが頭の中で整理されているのです。ですから、この順位を元に子どもたちへきっちりと指導できる。シュートや突破のタイミングで迷ったり、ミスをした子どもが、「何を考え、何を見て、判断したか」をしっかりと見極めて、「今のはシュートだぞ!」「今は突破だぞ!」と改善のためにアドバイスを行います。
日本の育成年代では、「自由な発想」を大事にするため、「何をしてもいいよ」となってしまいがち。逆に「○○しなさい!」と指示すると、“オーバーコーチング”だと言われたりしますね。
結果的に、複数ある選択肢の中から「正しいものを選びなさい」といったアバウトな指導になる。つまり身につけさせるべき「セオリー」を教えきれていないのです。
もちろん、指導者が答えをすべて言ってはいけません。子どもに考えさせながら、理解させることで判断力は磨かれていきます。その答えを言うべきタイミングは難しく、微妙なさじ加減が必要ですが、強豪国にはこういうバランス感覚で教えられるコーチがたくさんいます。
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