勝ち抜こうという雰囲気のないチーム

2012年07月03日

メンタル/教育

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みは小学4年生という時期のお悩みです。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学4年生の保護者)

4年生の息子が小学校のサッカークラブに入っています。息子は真面目に練習したいのですが、遊び半分の子が多く、コーチのスタンスはまだまだ楽しくという感じで、公式試合でも勝ち抜こうという空気はありません。コーチはボランティアのお父さんコーチたちで、練習開始時刻にはほぼ始まりません。どのくらいまでは、楽しく球蹴りで伸びるのでしょうか。本人もチームを移ることを考えることがあるようですが、素人の私にはチームの選び方がわかりません。この前の池上さんの記事もあまり移籍を勧めませんとおっしゃっていました。本気でサッカーをやりたい子が、4年生という大切な時期に一生懸命になれる場所を決めるときに、どんな声の掛け方をするべきか、今がどんな時期なのか、ヒントをいただけたらと思います。

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小学生年代はサッカーの楽しさを味わって。
移籍は親子で十分話し合うこと

 「本気でサッカーをやりたい子が、4年生という大切な時期に一生懸命になれる場所」

 ここが私にはよく理解できませんでした。「楽しくサッカーをさせようというクラブの雰囲気が、親御さんには「ゆるい」と映っていらだっていらっしゃるようです。少し肩に力が入り過ぎてはいませんか?

 そもそも、親御さんは何のために息子さんにサッカーをやらせているのでしょうか。
  私は、小学生年代はサッカーは「遊び」だと考えています。「まだまだ楽しく」。このチームのコーチのスタンスはそれでよいと思うのですが。

 つい先日、私は京都サンガで最初の指導者講習会を開きました。今年度から毎月1回開催することになったコーチ対象の講習会です。初回は20人くらいかなと予想していたら、80人の大人がやってきました。大阪や神戸など遠路はるばる府外から駆け付けた方もいらっしゃいました。

 「では、最初に試合をしまーす!」と私が言うと、どよめきが起こりました。「みなさん年齢が高い方もいらっしゃいますから、試合中は走ってはいけません。歩いてください」そんなウォーキング・サッカーをしました。すると、大人たちはワイワイと本当に楽しそうに汗だくでボールを追っていました(歩きながら)。
  試合後、私は皆さんに言いました。「皆さん、サッカーって楽しいでしょ? こんなに楽しいのに、どうしてトレーニングばかりさせるのですか?」

 ほとんどの指導者は、練習前は体操から始めたりします。サッカー協会も育成年代には「マッチ―トレーニング―マッチ」(M―T―M)といって、試合を軸に練習することを勧めています。まずは楽しく試合をして、サッカーの面白さを子どもに根づかせてあげてほしい。そんなことを伝えました。

 小学生年代はサッカーの楽しさを存分に味わい、サッカーの基礎を作っていくのは中学年代からというのが私の考え方です。それでも「楽しいだけではダメ」と考え、お父さんと同じような考え方のチームにもし移ったとしても、そこにはまた違う問題が横たわっているかもしれません。息子さんが試合に出られない可能性もあります。また、いったん移ると、元のチームに戻ることは現状では難しいものです。そのことは必ずお子さんに伝えてください。そのうえで、親子でよく話し合ってみてください。

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