チーム動画紹介第89回「FC駒沢女子U-15」
2012年05月16日
未分類選手一人ひとりのカラーにあった指導方法を
今回は東京都世田谷区で活動するFC駒沢女子U-15監督の諸岡信敬さんにお話を伺いました。
取材当日の駒沢オリンピック公園(東京都世田谷区)は、さまざまなカテゴリーのサッカーの試合が組まれ、まさに蹴球一色。Jリーグ、なでしこリーグ、関東高等学校サッカー大会、そして、FC駒沢女子U-15の参加する全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権が開催されました。練習動画は、そのウォーミングアップを撮影させていただいたものです。東京都予選大会のリーグ戦を控えて、選手たちの表情にも多少の緊張感がうかがえるかもしれません。
(写真をクリックすると拡大します)
「FC駒沢女子U-15」ってどんなチームですか?
1979年に設立した駒沢サッカークラブが母体となった、中学生年代の女子を対象としたサッカークラブです。練習は基本的に週4回。品川区と世田谷区の学校のグラウンドを借りて19時から21時まで活動しています。OGには、なでしこジャパンにも選出された木龍七瀬選手(現:日テレ・ベレーザ)がいます。
チームの指導方針を教えてください。
彼女たちがこのチームを巣立ったときに「FC駒沢女子出身の子は上手だから即戦力になる」と評判になるような指導育成を心がけています。それには、個々の選手がしっかりとしたボールコントロールとその場に適した状況判断をできることが重要だと考えていますので、テクニックと神経系を中心としたトレーニングメニューを組み立てるようにしています。
女子中学生に指導することの難しさはありますか?
特に女子だからということを意識して気を使うことはありませんが、中学生という年代は、男女を問わず精神的に不安定になる年頃ですので気分の浮き沈みが大きいですね。うちのチームだけがということではありませんが、最近の子どもたちは、怒られたり叱られたりすることに不慣れなので、指導者が少し強い口調でコーチングをすると傷ついてしまって、次の練習には来なくなってしまうことも珍しくないようです。
そうした子どもたちの心の不安定さがチーム活動の妨げにもなるのですか?
例えば、前の代のときは、口やかましい指導が必要だったけれど、今年のチームは、少しの言葉で気持ちを切り替えることができるというようなこともあるとは思います。とはいえ、そもそも同じチームだからといって、全員がすべて同じように指導内容を理解できるというわけでありませんので、チームといった大きな枠で捉えるのではなく、選手一人ひとりの個性に合わせた対応をするようにしています。
チーム活動で重視していることはありますか?
自主性を重んじています。指導者が、ことこまかに世話を焼かなくても、選手一人ひとりが自分たちで物事を考えて解決できるようになってほしい。人の意見を取り入れることは悪いことではありませんが、自分の考えを持たずに指導者や保護者の意見を鵜呑みにするのではなく、その意見が正しいことなのかを見きわめられるようになるだけの知識を事前に蓄えることが重要です。だから、まず自分の頭の中で考えてみます。それで分からなかったらいろんな手段を使って調べてみればいいんです。どうしても解決しないときになって初めて、自分の考えた結果を相手に伝えられるように整理してから他人のサポートを仰げばいいんです。
最後にチームの目標を教えてください。
保護者やチームを応援してくださる方の期待に応えるためにも、全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権などの公式戦は勝ち進みたいですね。選手たちにとっても、勝つことを経験することで、どうやって試合を進めていけば勝てるのかということを学習する機会になるからです。どんなに試合数を経験しても、勝つことができなかったら「自分たちのやっているサッカーは正しいのか?」と疑心暗鬼に陥ることもあります。選手と指導者の信頼関係を築くためにも試合に勝つことは目標にしたいですね。
編集部コメント
東京都内の女子サッカー事情について「女の子がサッカーを続けることのできるクラブが増えてきました。FC駒沢女子U-15にも上の年代のカテゴリーがありますので、中学を卒業してからも、やがて社会人になってもサッカーを続けることができます。また、高校の女子サッカー部も充実してきました。都立の強豪校が2校、私立にもレベルの高いサッカーをするチームがあります」と諸岡監督。しかし全国的には、小学校を卒業したあとの女子が、サッカーを続けることのできる受け皿のない地域も多いようです。たとえあったとしても片道2時間近くも電車で通うなどという話も聞きます。「厳しい環境を乗り越えることによってサッカーも人間的にも強くなる」と言う人もいますが、女子サッカーの人口増加のためには、東京のように恵まれた環境は不可欠ですよね。そこで頼りにしたいのは、やっぱり、なでしこジャパン。まもなく開催されるロンドン五輪での彼女たちの活躍こそが、女子サッカーの更なる環境改善につながるのではないでしょうか。ぜひ金メダルを期待したいところです。
(取材●山本浩之)
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