「早生まれは損?」「うちの子にだけケガが多いのはなぜ?」保護者が気になる“5つの疑問”に専門家が答えます!

2018年01月30日

コラム

ケガがとても多い、伸び悩んでいる、ご飯をあまり食べない、など成長期のお子さんを持つ親御さんの悩みはつきません。 だからこそ親御さんたちが子どもの「カラダ」について、しっかりと理解しておく必要があります。そこで今回は、ケガや食事、体の成長など親が気になる5つの「カラダのギモン」を奥田援史先生(滋賀大学教育学部准教授)、間宮裕子先生(栄養アドバイザー)、加藤晴康先生(立教大学コミュニティ福祉学部 スポーツウェルネス学科准教授)が解決します。

取材・文●戸塚美奈 写真●佐藤博之、ジュニサカ編集部

『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.24』より転載


Q.サッカー選手において早生まれは損?

A.長期的な視点では必ずしもそうではありません。


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大切なことは、サッカーを楽しく続けていけること

【奥田先生の解説】

 イングランド代表選手の誕生月を調べたところ、入学時期に近い9月~11月生まれが多かったという調査があります。これを契機に、サッカー界では誕生月の影響が注目され始めました。その後、Jリーグでは、4月~6月生まれの選手が早生まれの選手よりもかなり多いことがわかりました。学業成績では、国語や算数は小学校低学年の頃になると誕生月の影響がなくなりますが、体育だけは高校時代まで誕生月の影響を残します。  

 なぜ、スポーツでは誕生月の影響が認められるのでしょうか。それは4月~6月生まれの人は身体や運動機能の成長が他のグループよりも早いからです。成長が早いということは、背が高く、走る力もある、ということです。その結果、レギユラー選手にもなりやすく、地域の代表選手に選抜される機会が増えます。多くの練習と試合を経験することにつながっているのです。  

 しかし、人間の発達はそんなに単純ではありません。早熟や晩熟、得意や不得意といった個人差は、誕生月の影響を小さくします。また、子ども時代に多くの練習や試合をすることが、さまざまな問題をもたらすることはよく知られています。

 例えば、オーバートレーニングとなり、怪我を頻発させます。心の面ではやる気の消耗を招くことにもなりかねません。これらの心身の問題は、サッカーを継続することを難しくします。長期的な視点では、早生まれが損かというと必ずしもそうではありません。何よりも大切なことは、サッカーを楽しく続けていけることです。ちなみに、元日本代表の宮本恒靖選手は2月生まれです。

<アドバイザー>
奥田援史先生

滋賀大学教育学部准教授。運動心理学が専門で、双生児研究や早期教育について調査をしている。サッカーは、小学1年から始め、関西高校ユース代表になったことがある。スポーツ少年団のコーチもしたことがある。

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