チーム動画紹介第61回「大和シルフィード」

2008年10月20日

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全国になでしこの種を蒔く、風の精霊シルフィード

今回は、大和シルフィード(神奈川県大和市)の練習にお邪魔して、佐藤浩二監督にお話を伺いました。今年8月に開催された全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会に4年連続で出場し、2年連続3回目となる全国3位に輝いた大和シルフィード。OGには、なでしこオールスター2008に選出された上尾野辺めぐみ選手(アルビレックス新潟)、川澄奈穂美選手(INAC)がいます。

「大和シルフィード」ってどんなチーム?

中学生以上の女子を対象としたクラブチームとして、1998年に設立しました。当時、女子のジュニアチームは、神奈川県内でも40チーム近くあったのですが、ジュニアユース年代のチームは少なかったんです。いくら小学生の時にサッカーを頑張っても、中学生になってサッカーを続ける環境がなかったわけです。本当に上手な子はセレクションを受けて、日テレ・メニーナなどの選択肢もあるのですが、あとは、ママさんチームや大学生チームなどに混ざってやるしかなく、中学生には溶け込みにくい環境でした。そこで受け皿となるクラブをとして、シルフィードを創設したわけです。
現在、神奈川県内の中学生を中心に67名の女子選手が活動しています。最多人数の学年は中学1年生で30名です。これだけの人数が集まったのは、セレクションがない、通いやすい、練習場所がある、そして全国大会出場での知名度もあるのでしょうが、一番の理由は同年代の女の子と一緒にサッカーができるということのようです。

チームの指導方針を教えてください。
パスを繋ぐためのキックやボールコントロールを重視しています。また、戦術面の基本スタイルとして、ゴールを奪うためのシュートは、自分の後ろからきたボールよりも、自分に向かってくるボールのほうが絶対に打ちやすいのだから、なんとかゴールライン近くまで運んで、マイナスのセンタリングをだせるような攻め方をしてチャンスを広げよう、ということを徹底しています。

女性の指導者もいるようですが、女性ならではの指導や役割はありますか?
サッカーを頑張ってきた女性ということで、選手たちの憧れの存在でもあり、意欲をそそる指導ができるようです。選手たちと年齢も近く、悩み事の相談や問題事の発見もできます。多感な中学生年代の彼女たちの気持ちを、うまくコントロールできるのは女性指導者ならではのようです。

小学生時代の所属チームが、男女混合か女子だけかによる違いはあるのでしょうか?
女子チームの出身者は、基本技術は丁寧で、きめの細かいキックができるのですが、競り合いやヘディングが弱く、激しさがありませんね。一方、男子に混ざってやってきた子は、基本技術は多少荒くとも、スピードやあたりの強さなどはあります。

進路について、受け皿となる高校の女子サッカー部はあるのですか?
最近増えています。なでしこジャパンの影響や、学校の中で指導できる人も増えているのでしょうね。現在は、神奈川県だけでも20校くらいはあるようです。シルフィードからは、ここ数年、神奈川県内ではなく、鹿児島や静岡、山梨のサッカー強豪校へ進学する子もいます。

なぜ、神奈川県内ではなく、他県への進学を希望するのですか?
神奈川県の高校でサッカーを頑張りたいと思っても、公立高校のサッカー部では、関東や全国大会を勝ち進んでいくのは厳しいわけです。かといって私学の全国大会常連校だと、同じ県内でも通学に片道1時間半なんてことも考えられ、とても通いきれない。勉強もしたいけれど、サッカーも続けたい、でも学校が遠くなってしまう。だったら、県外の有名私立で確実に全国に行けそうな全寮制の学校に進んだほうが良いのでは、と考えるわけですね。お金はかかるけれども、推薦入学だと学費免除になる学校もあるのですから。サッカーに打ち込めて、同じ境遇の仲間と一緒に勉強もできるということもあり、県外の高校を選んでいるようです。

今後の目標や課題を教えてください。
ここ数年、全国大会に出場していますが、準決勝で敗退してしまいます。そこで、決勝に進めるチームづくりを目標にして、大会に参加した選手たちと、全国で得た貴重な経験をチームの全員に伝え、チームの財産として残していくということを課題として取り組んでいます。

編集部コメント

 取材後に行われた地元中学校の男子サッカー部との練習試合。キック力のある男子チームが、ロングボールを蹴りこんでいくのに対し、シルフィードは、丁寧にパスを繋ぐサッカーを展開して、互角の戦いを演じていました。体格的に勝る相手と対した彼女たちにとって、正確なトラップとインサイドキックによるパスワークは、とても大きな武器でした。
 なでしこジャパンの北京五輪での活躍について、「体格差があろうと、日本人特有のサッカーの良さをだせば、世界に通用するということが証明できましたね」と佐藤監督は言いました。
世界に通用する日本人特有のサッカーについては、様々な解釈があるでしょうが、その答えのひとつがシルフィードの目指すサッカースタイルにあるような気がしました。
(文 山本浩之)

VOL44

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