三笘薫のドリブル・カットインの秘訣に迫る。1対1で相手を抜き去るための“沈む動き”とは【フィジカルのプレーモデル】

2024年04月22日

フィジカル/メディカル

前回の記事では内田篤人選手の1対1の守備の際の重心を落とした構え方について解説しました。今回は1対1でドリブルを仕掛ける際に何が重要なのか、ドリブルの名手である三笘薫選手のカットインに注目して『サッカー フィジカルのプレーモデル』から一部抜粋して紹介します。

著●三浦哲哉 監修●須佐徹太郎



(写真●Getty Images)

三笘薫選手のカットイン

 ジャンプや方向転換の論文では、動作の切り返しでのパワー発揮の局面の考察が多くなりますが、私は、垂直跳びの沈み込む場面や、方向転換前の減速し始めてからグッと沈み込む動きの質が、サッカーのパフォーマンスに相関があるのではないか、と感じていました。トップ選手ほど、その局面で上半身の姿勢が崩れずに股関節を柔らかく使える印象がありました(図22)。

「沈むバネ」の定義は、上半身の重さを骨盤(座骨間)に乗せて重心を落とすと、バネで浮き上がってくる、としています。ちょうどパワーポジションにあたるような姿勢になったときに、尻もちをつくように 座骨に重さを乗せるような形になります。

 この動きの質が高いと、

1: 身体の重さをバネに変えられる
2: 股関節がフリーで動かせる
3: 上半身と下半身を別々に動かせる
4: 浮き上がっている間に接地位置を変えられる

 ということが可能になります。

 パワーポジションからその場での足踏み、ハーキーステップと呼ばれる両脚のステップ、捻りのツイスティング、前後のシザース、左右のシャッフル、バックステップ、また、ラダーやマーカー、アジリティリングを使ったステップ系のエクササイズでは、沈む動きがベースになります。

 これらは、上半身の傾きや身体の向き、脚の動きを変えながら動く、というサッカー的なステップワークの土台になると考えています。この動きをする際、下半身では、地面を押す⇄引き上げるという動きが反復されますが、トップ選手は身体の重さを乗せてスムーズで素早い動きをするため、その土台となる下腹部が発達することになると考えています。

 カットインでは、進行方向と反対側の脚(外脚)を着地するタイミングでグッと沈み込むことで、地面の反発をもらいながら身体の向きを変えて加速します。三笘薫選手(図26)のように沈む質の高い選手は、脚が素早く前に出てきて、重心の上下動が少なく、並行移動しているかのような動きになります。ドリブルの名手の得意技、ジネディーヌ・ジダン選手の「マルセイユルーレット」やロナウジーニョ選手の「エラシコ」などには、必ず質の高い沈む動きが入ってくるため、これらの技術の習得や洗練化の重要なポイントになると考えています。


全文は『サッカー フィジカルのプレーモデル』からご覧ください。


【商品名】サッカー フィジカルのプレーモデル
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2024/04/16

【書籍紹介】
これまでになかったサッカー選手のための自重をコントロールする「基礎体力」の型

世界で活躍するトップ・オブ・トップのサッカー選手の動作的特徴として、「スプリント」「減速・加速」「方向転換」の速さが挙げられる。それらを支えているのが、「弾むバネ」「沈むバネ」「しなるバネ」の3つのバネである。また、身体的特徴として、「上半身の姿勢の良さ」「腹~腰回り、下腹部の筋群の発達」「自由度の高い股関節」がある。本書では、現代サッカーを制するために必要不可欠な3つのバネの作り方を中心に、中学生年代から大学生年代かつプロ選手まで適用できる、これまでになかったサッカー選手のための自重をコントロールする「基礎体力」の型を提示する。

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