日本、そして世界各国を見てきた指導者が語る育成現場に必要なこととは? 多くの子どもたちと指導者を育てた「クーバー・コーチング」のメソッドに迫る

2013年10月15日

コラム

今回は世界30カ国以上、日本国内では全国100カ所以上でサッカースクールを開催し、多くの指導者養成も行う「クーバー・コーチング」の共同創設者、アルフレッド・ガルスティアン氏に話を聞きました。海外と日本の育成現場を知るガルスティアン氏が見たそれぞれの現状や、日本サッカーの更なる発展のヒントなどを話してくれました。

文・写真●編集部

 


個人、スモールグループプレーの向上を目指す

――クーバー・コーチングが日本で活動されて20年以上が経ちましたが、改めてその指導理論をお聞かせください。

その質問に答えるにはまず、クーバー・コーチングの歴史を紐解くことが重要だと思います。クーバー・コーチングは約30年前にスタートしました。1984年、私と元チェルシーの伝説的な選手だったチャーリー・クックの2人が、オランダの指導者であるウィール・クーバーさんに出会い、2つのことに非常に興味を持ちました。まずひとつがクーバーさんが9歳から12、13歳ぐらいまでの若い年代には勝利よりも育成の方が大事であることを強く提唱していたこと。そして、練習メニューでは1人にひとつのボールを与え、さまざまなメニューを行っていたことです。その後、私たちがアメリカで行っていたサッカースクールの名をクーバーにしようと思いつき、クーバーさんに相談し、指導がスタートしました。

私とチャーリーは個人の技術の向上というクーバーさんの考えに非常に惹かれ、この30年間、クーバーのカリキュラムを改良し続けてきました。その主な狙いは、個人、そしてスモールグループプレーの向上を目指すことです。

指導を始めた当初は、(すべてのプレーの基礎となるエクササイズ)ボールマスタリーがほぼ全てでした。いくつかの1対1の動きがそれに加わった程度です。その初期の形から最初に変更があったのが、1986年。私とチャーリーはこれまでの考えをボールマスタリー、1対1、コンビネーションプレーという3つの要素に分けました。そしてクーバー・コーチングの現在の形が確立したのが、1997年です。ここで〝プレーヤー育成ピラミッド〟を発表し、大きなターニングポイントとなりました。そこまでクーバーさんが提唱していた練習というのは反復練習など、対人のプレッシャーが伴わないものが多かったのですが、私とチャーリーは、身に付けた技術をできるだけ早く高いプレッシャーの中で行うことを目指しました。そこがクーバーさんとの大きな違いで、この育成ピラミッドの特徴となります。

私たちの使命は、創造力豊かで、自信を備え、高い技術を誇った選手そして人間を育てることです。この使命は、当初からの我々の目標であり、それは今でも変わることはありませんね。

■プレーヤー育成ピラミッド

・グループプレイ
全てを組み合わせて行うプレーのこと。 少人数でのグループディフェンスやファーストブレイクアタック、コンビネーションプレーのことです。

・フィニッシュ
ペナルティーエリア付近での得点力の強化。ゴールを狙う姿勢やタイミング、勇気や集中力が必要になります。

・スピード
考えるスピードと身体的なスピードの養成。ボール有りの状態や無しの状態でのスピード養成も含まれます。具体的には、加速力や反応のスピード、決断力を高めるトレーニングを行います。

・1v1 の動き
ボールキープ力などの個人の技術のこと。この技術があればパスやシュート、フリーランニングをするための時間とスペースを作ることができます。

・パス&レシーブ
チームプレーの技術のこと。チームメイト抜きではサッカーは成り立ちません。

・ボールマスタリー
すべてのプレーの基礎となるエクササイズ。ピラミッドの各要素に影響を与え、ボールコントロールを上達させ、プレーに対する自信を生みだします。

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