リフティングの指導はどうしたらよいか?

2012年04月24日

コラム

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みは「リフティングの指導はどうしたらよいか?」です。

◎練習(トレーニング場面での悩みやギモン)

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(質問者:小学3年生コーチ)

小学3年生のコーチをしています。ジュニアの年代では、ドリブルや判断力など個の技術を大切に考えて指導しています。その練習のひとつに、リフティングも左右の足インステップでできるとかの基本部分は教えています。しかし、私はサッカー経験がありますがそれほどリフティングがうまかったわけではありません(笑)。池上さんはリフティングを教えるとき、どんなことに気をつけて指導していますか?

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リフティングがうまくなると、
サッカーは下手になるかもしれません

 リフティングの指導法を尋ねられているのに、申し訳ありませんが、私はひとりで黙々と何百回もこなすリフティングは必要ないと考えています。京都サンガF.C.GMの祖母井秀隆さんによると、「1960年代のW杯で優勝したドイツ代表のメンバーの中には、リフティングが3回しかできなかった選手もいた」とのことです。

 実はこの春、京都サンガの機関誌に掲載中の私の連載のテーマは「リフティングがうまくなると、サッカーは下手になるかも」というものでした。
  その理由は、ひとりでずっと1個のボールを注視してリフティングをするという動作を繰り返す時間のなかでは、「周りを見る」ということを覚えません。「リフティングがうまくなると、サッカーは下手になる」は多少大げさかもしれませんが、根拠がないわけではないのです。

 練習の時間はある程度決まっています。1,000回行うと10数分ほどかかるでしょうか。練習時間内にひとりぼっちでリフティングをさせるなら、その時間にミニゲームをやった方がはるかに上達すると私は考えます。

 練習の中でどうしてもリフティングをやりたいのなら、2人組でボールを交換する、3人組でやるなどボールだけでなく「人」を見るトレーニングを入れてはいかがでしょうか。2人組なら最初は静止して、次に動きながらなど、いろいろバリエーションは生まれてくるはずです。ボールコントロール力を養うトレーニングとしてなら、2人組、3人組で最初はワンバウンドで、次にボールを落とさないパス交換を練習してみてください。

 そんな話をすると「でも、リフティングをすると集中力がつきませんか」と言う方がいらっしゃいますが、サッカーの集中力は、ずっと1個のボールを見続けるものとはかなり異なります。フィールド全体を見ながら刻一刻と変わる状況の中で、自分がどう動くかボールをどう動かすかに集中しなくてはなりません。リフティングでは、サッカーに必要な集中力は養えないというのが私の持論です。

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