プレスをかけられるとあわててしまう選手たち

2012年06月12日

コラム

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みは「プレスをかけられたときにあわててしまう選手たちの対処法」です。

◎練習(トレーニング場面での悩みやギモン)

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(質問者:小学5年生コーチ)

私は今5年生のコーチをしています。プレスの遅いチームには、落ち着いて自分たちのいいプレーで試合が運べるのに対し、プレスの速いチームに対しては、あわてて逃げのパスをする場面が非常に多く見られます。何かいいアドバイスまたは練習方法などありませんか? お願いします。

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キープして視野をもつことを最優先に。
「前に行かなくもいいよ」の声がけを

 小学生が相手からプレスにこられた場合、あわてるのは当たり前です。
  そもそも欧州などでは、「子どものサッカーでは速いプレスはさせないようにしましょう」と指導者は言われています。少年サッカーは勝利至上主義ではありません。小学生のときに最も優先的に身につけることは、速いプレスをかわす技術ではなく、周囲を見渡す時間を十分に与えることだと言われています。要するに、視野を持ち、そこで得た情報をもとに自分で判断してプレーを創造する。そこを優先すべきなのが小学生時代とされています。だから、11人制ではなく4~8人の少人数制で行い、あらかじめオフサイドラインが白い線で引かれているわけです。

 ですので、指導する際は「前に行けなくてもいいよ」と声をかけてあげましょう。もっと言えば、ボールを後ろに下げていいし、引いてしまっていい。少年少女の間に、ボールを相手に渡さない、前には行けないけれどキープできる技術を身につけるようにしてください。「ボールを奪うのは大変じゃないかな? では、奪われない方法を考えよう」と子どもに考えさせてください。ボールをとりに来られても、とられないよ、という技術ですね。

 もうひとつ、修正していただきたいのは、練習メニューの選び方です。ひとりで長々とコーンドリブルをさせてはいませんか? クローズドスキルではなく、例えば2-1、2-2、3-1、3-2など、対人形式のオープンスキルのトレーニングを増やしましょう。試合形式の練習をやっていけば、プレスに慣れていきますし、あわてないですむと思います。

 また、試合などでボールをとられても叱らないこと。叱られて萎縮(いしゅく)すると、子どもは余計に平常心ではいられなくなります。一見いつもと同じような顔つきでも、子どもは試合で緊張するもの。試合で失敗したことを反省してから「じゃあ次はどうしたらボールをとられないかな?」と問いかけてください。

「問いかける→気づかせる→考えさせる→トライさせる」

 この一連の流れを、集中して、楽しみながらくり返すことのできる選手とコーチが、一緒に成長できるのだと私は思います。

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