【バーモントカップ第22回全日本少年フットサル大会】東京都大会レポート&結果

2012年11月11日

バーモントカップ第22回全日本少年フットサル大会

東京都代表はヴィトーリア目黒FC Aに決定!
8年ぶり3度目の全国大会出場へ!!


 11月10日(日)、立川市・泉市民体育館にて「バーモントカップ 第22回全日本少年フットサル大会 東京都大会」の決勝があり、ヴィトーリア目黒FC A(以下、ヴィトーリアA)が東京ヴェルディ(以下、ヴェルディ)を4-2で破り、優勝を決めた。

「ヴェルディさんは個のレベルが高いから、接戦は覚悟していました。子どもたちにも『勝つんだったら接戦、負けるんだったら大差になるよ』と言っていました。それにしても、しびれる試合だったでしょ(笑)」との渡会洋吉監督の言葉通り、なんとも濃い内容の20分間だった。

「ヴェルディには友達がたくさんいる」とキャプテンの73番・アペルカムプ真太くんが言うように、ヴェルディに個人技があるのはヴィトーリアAのメンバーにとっても周知の事実だ。守備には最大限に気を配っていた。「自信がなかったら、相手のシュートを止めることなんてできない。ゴレイロはチームにとって最後の要なので、僕が諦めてしまったらチームが負けてしまうから、しっかりと集中して取り組んだ」とゴレイロの1番・寺田利明くんの言葉は頼もしい。
事実、立ち上がりから、テンポのよいパス交換と突破力ある力強いドリブルを誇るヴェルディに対して、豊富な運動量で追い回し、油断のないディフェンスで乗り切った。そして、ボールを奪うとすばやくスイッチを切り替え、ヴィトーリアAは攻撃的なチームへと変貌した。ヴィトーリアA・山下剛コーチの言う「パスをつなぐスタイルが基本ですが、攻守の切り替えの早さと相手より多い運動量がテーマです」とのチームの特徴が現れた形だった。

そんな攻守に労を惜しまない姿勢が、ヴィトーリアAに先制点をもたらしたのは前半2分のことだ。自陣右サイド後方の深い位置でボールをもった32番・島田俊作くんが基点となる。ルックアップした島田くんは、対角にあたる相手右サイドのヴェルディのFixo(フィクソ:サッカーでのディフェンダー)とAla(アラ:サッカーでのサイド)の位置を視認すると、その間の絶妙な位置にロングパスを放り込む。そこにタイミングよく走りこんできたのは73番・アペルカムプくん。ワントラップからのシュートがゴールネットに突き刺さった。

勢いに乗ったヴィトーリアAは、続く3分にもヴェルディのゴール前に攻め込むと、相手選手の多い混戦状態のなかで、3番・古橋優吾くんが強引にボールを蹴り込むのではなく、しっかりとゴールへの空いたコースを見きわめてシュートを決めた。

2点を先制されたヴェルディだが、前半の早い時間帯だけに、まだまだ冷静に戦況を見つめていた。サッカーとは違い得点の入りやすいフットサルだけに、2-0のスコアは勝っているチームにとっても決して安心のできる点差ではない。1点を返すだけでも精神的に追い詰めることができるのだ。

ヴェルディの選手たちはゴールを目指し、攻撃のギアを1段アップさせた。サイドにスペースがあれば積極的にドリブルを仕掛け、コースが空いていれば遠目からでもシュートを放った。それでも、ヴィトーリアAを前半で追い込むことはできなかった。

次にゴールネットを揺らしたのもヴィトーリアAだった。ゲームの状況も少し落ち着きを見せてきた前半7分に、32番・島田くんのミドルシュートが決まった。練習のない時には近所の公園でゴールをイメージしたシュート練習を欠かさないという島田くんの練習成果なのだろう。島田くんの左足から放たれたボールは鮮やかな弾道でゴールマウスに吸い込まれていった。

だが、後半になって、ついにヴェルディが牙を向く。ヴィトーリアA陣営としては、「ヴェルディは間違いなく修正してくるから、3点差とはいえ安全ではない。絶対に守りに入るな。追加点を取るくらいに考えていこう」とハーフタイムで選手たちに用心させていただけに「ヴェルディはさすがですね」と渡会監督も苦笑いをする。

後半1分、4分とヴェルディの得点は流れのなかからうまれた。決めたのはヴェルディの5番・綱島悠斗くん。「綱島くんが僕たちのゴール前に立っていたので嫌だなと思っていました。だから、十分に注意はしていたのだけれど……」とヴィトーリアAの選手たちの警戒網をくぐってのゴールだった。

残り時間が6分もあるなかで1点差に追いつかれたヴィトーリアAだが、「去年、さわやか杯で優勝したときもヴェルディを相手に接戦でした。それを乗り越えて優勝した先輩たちの姿をこの子たちは見ているんです。だから、勝ちたい気持ちの強いチームが勝つことができるのを知っている」と渡会監督は、子どもたちが諦めない気持ちの重要性を持って戦いに臨んでいることを信じていた。

「最後は1点差となってやばいと思ったけれど、守るのではなく、もう1点取ろうと思った。守り抜けたのは、みんなが諦めない気持ちをもっていたからです」キャプテンのアペルカムプくんは証言する。

このヴィトーリアAの強い気持ちが形になったのは後半10分のことだった。パスワークを駆使してヴェルディのゴール前まで迫ると、3番・古橋くんが、この試合2得点目となるシュートをダイレクトボレーで叩き込んで4-2と突き放した。

そして歓喜の時が訪れた。ヴィトーリアAの選手たちは喜びを爆発させた。「決勝では、ベンチ、サポーターのみんなが、ひとつになっていたんだと思います。ピッチにも声援が聞こえて、それがパワーになった」と島田くんは語る。

前回のバーモントカップには、当時5年生ながら兄弟チーム・バモス東京FCのメンバーとして参戦したヴィトーリアAの選手たち。全国制覇を遂げたFCトッカーノと準決勝で対戦して7-1の大差で敗れている。その悔しい思いを一年越しで晴らしたこととなる。

だが、彼らの一年間は、決して順風満帆ではなかった。夏の全日本少年サッカー大会では、準決勝まで勝ち進むがPK戦で無念の敗退。結果の出ないもどかしさからか、いつしかチーム内には不協和音も響くようになったという。そんな辛い時期を、寝食をともにする夏合宿を経験することで克服してきた。結束力は高まり、絆は深まった。けれども、結果は簡単についてくるものではなかった。前年度優勝したさわやか杯では、中央大会まで進むものの初戦で敗退した。それだけに、バーモントカップでの優勝には、選手たち一人ひとりに募る思いがあったことだろう。

多感な少年期を過ごす子どもたちには、これからもさまざまな難題が待ち受ける。けれども彼らは、耐え抜いた先に喜びが待っていることを知った。「東京都代表として出場するからには優勝を目指します」とチームの戦術や指導を任されている山下コーチは全国大会での目標を語る。それは選手たちにとっても同じこと。きっと、全国制覇という新しい難題に果敢に挑むことだろう。

■ヴィトーリア目黒FC A 渡会洋吉監督

第7ブロックの予選大会から、ずっと流れが悪かったのですが、地方の大会に遠征したりして、修正しながらやってきました。その成果が出たのか、決勝大会の1次ラウンドに進んでからは、選手たちのプレーが上向きになってきました。この子たちは4年生のときから、ずっとフットサルに取り組んでいます。だからこそ、フットサルの全国大会に出場したいという気持ちが強かった。決勝は接戦を覚悟していました。もう気持ちの問題。気力の問題です。よくがんばりました。

(文・写真●山本浩之)

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