【第37回関東少年サッカー大会】決勝レポート

2013年08月19日

大会情報

今大会から8人制となった関東少年サッカー大会は、
茨城県代表の鹿島アントラーズつくばが優勝!!

8月18日(日)、押原公園(山梨県中巨摩郡昭和町)にて「第37回関東少年サッカー大会」の決勝があり、茨城県代表・鹿島アントラーズつくば(以下、アントラーズつくば)と神奈川県代表・リトルジャンボSC(以下、リトルジャンボ)が対戦し、3-0でアントラーズつくばが優勝を飾った。

去る8月10日に、日本の気象観測史上、歴代5位となる40.7℃を記録した山梨県。この日も、会場となった押原公園は甲府盆地特有の夏の暑さに見舞われた。

小学生がサッカーをするには過酷ともいえる暑熱下であるだけに、「気象状況によっては、中断や中止ということも想定して大会を運営しています。試合中には、控えの選手が直射日光の当たるピッチサイドにいるのではなく、ピッチ脇に設営した待機テントで待つようにしてもらいました。これらも含めて、大会期間前には、各チームに暑さ対策を『まずはチーム内で取り組むように』と通達しています。また、監督者会議の席でも、指導者が『目配り、気配りを怠らないようにする』と認識をあわせています。とはいえ、体調は選手自身にしか分からないものなので、開会式のなかでも、『無理をしてやらないこと』と子どもたちには話をしています」と山梨県サッカー協会の石原4種委員長は、熱中症予防についての取り組みを説明してくれた。救急体制についても、会場に看護師を常駐させていた。

参加した各チームは、水分補給はもちろんのこと、「塩分の入った飴を舐めさせている」、「帽子を被る」などの予防策をしたうえで、子どもたちが“無理”をすることのないように指導者が配慮しているようだった。

ただ、実際には「思ったよりも暑くなかった。夜もぐっすりと眠ることができるくらい涼しかった」、「風があったので、暑さはそれほど気にならなかった」と選手たちからの声も聞こえてきた。

それでは、決勝に話を戻そう。キックオフは14時。序盤からアントラーズつくばは、「うちは、攻撃的な選手が多いです。積極的にドリブルを仕掛けて、シュートまで持っていけるのが特徴です」と木村匡志監督の言葉にもあるように、選手たちが自身の持ち味を発揮し、果敢にチャレンジを繰り返すと、前半8分のこと、背番号9番・杉山眞仁君がカウンターから相手ゴール前までボールを持ち込むと、ゴールキーパーの動きを見極めてからインサイドキックでゴールマウスに流し込み先制する。

一方のリトルジャンボも、ストロングポイントである「個の力での突破」を何度も試みるが、アントラーズつくばの2枚のセンターバックを中心とした守りは安定しており、崩しきることができなかった。

後半になってもアントラーズつくばは、各選手が落ち着いたプレーを見せ、13分には、背番号8番・杉田輝稲君からのパスに反応した背番号9番・杉山眞仁君が「キャプテンの杉田君が裏のスペースに蹴ってくれたので、僕は決めるだけでした」とこの試合2得点目のゴールを決めた。

リトルジャンボは2点差とされたものの、豊富な運動量を持つ攻撃陣がドリブルでの突破や、ミドルレンジから勢いのあるシュートを連発して追い上げた。それでも、アントラーズつくばの堅牢なゴールマウスをこじ開けることはできない。

やがて、アディショナルタイムを迎えると、アントラーズつくばは、背番号9番・杉山君がハットトリックを決める。それは、決して簡単なゴールではなかった。ゴール前に折り返されたボールのバウンドは、勢いよく走りこんできた杉山君にとっては合わせにくいものだったはず。それでも強引なまでにシュートへと持っていくのは、ゴールに対する高い意識の現れなのだろう。

「今日は調子が良かったみたいですね(笑)。冗談はともかく、ディフェンスの背後のところを狙うなど、ゴールの意識が高かったのは、今大会で成長した部分なのかなと思いますね」と木村監督も賞賛する。

アントラーズつくばが3-0とリードを広げると、間もなく、試合終了を告げるホイッスルが吹かれた。

第37回となった本大会より、これまでの11人制から8人制となった関東少年サッカー大会。「参加チームは『関東各都県から推薦された24チーム』とされていますが、先に開催された全日本少年サッカー大会(以下、全少)の各都道府県予選で2位から4位までの成績を収めたチームに出場権が与えられます。だから、全少は8人だけれど、関東は11人というのもおかしい。そして、やはり8人制は、選手一人ひとりのボールに関わる機会が増え、技術力や判断力の向上に繋がる。運営面についても、素晴らしい環境の試合会場が、8人制のサイズだと4面を確保できるんです」と山梨県サッカー協会の石原4種委員長は8人制に踏み切った理由を説明してくれた。

こうしたメリットがある一方で、出場人数が3人減少することもあり、出場機会を失う選手もいる。このことに対しては「前後半で、選手を総入れ替えするなどのアイデアもあると思いますが、それだと、人数が確保できているチームは心配ありませんが、選手の少ないチームは大変です。なんとか対応するために、飛び級までしてしまうと、チーム力の低下も招きます。でも、その問題は11人制でも同じこと。結局のところ、選手一人ひとりの出場機会の確保は、各チームに依存するしかありません。そういったこともあり、今大会は、選手の登録人数を制限していません。登録をした選手は誰でも出場することができます。試合のときには、そのなかから18人をベンチ入りさせて試合に臨めばいいわけです」と石原4種委員長は語る。

選手交代について「自由な交代を適用し、リエントリーを認める」など、大会要項には、さまざまな工夫が凝らされているのだ。運営側である関東各都県のサッカー協会4種委員会は、すべての子どもたちが平等に出場することができるよう、枠組みを用意してくれた。あとは、各チームが、状況に合わせてフレキシブルに対応すればいいというわけだ。

このような試みは、すぐに結果のでるものではない。近い将来、8人制サッカーに取り組んでいる子どもたちが日本サッカー界の中心年代となったとき、その活躍ぶりはどうなっているのだろうか? 楽しみでもあり、待ち遠しくもある。

アントラーズつくばの優勝で幕を閉じた関東少年サッカー大会。来年度の第38回大会は東京都で開催されることになっている。

■優勝 アントラーズつくば 木村匡志監督のコメント
「勝負にこだわって、粘り強くボールを追う」という部分は、鹿島アントラーズの育成組織共通のテーマです。全少で鹿島アントラーズジュニアが優勝したことによって、アントラーズつくばの選手たちも、いい刺激を受けたと思いますので、関東大会で優勝することができてよかったです。この優勝で天狗にならずに、今後も「何ができていて、何ができていなかったのか?」を忘れずに取り組んでもらいたいと思います。                       
                                  (文・写真●山本浩之)

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