一人のサッカー少年から世界チャンピオンへのぼり詰めるまで フリースタイル・フットボーラー徳田耕太郎選手インタビュー【前編】

2013年12月24日

インタビュー

高校でサッカーを続けなかった理由とは?

――中学生時代はサッカー部で活動をしながら、フリースタイルを個人的に練習していたのですか。

そうですね。家ではリフティングをして、学校ではサッカーをやって……という生活でした。やっていくうちにいろいろな技ができるようになったのですが、リフティングの練習は家でしかやっていないので、サッカー部の友だちはそのことを知らないんです。それで、練習の合間に技を見せると、みんなが「なにそれ、すごい」と不思議がっていました。そんなことをしていたら、いつの間にかチームではずば抜けてリフティングが上手くなっていましたね。練習試合に行って、ウォーミングアップでリフティングの技をやると、ちらっと見ていた相手チームの選手から警戒されるということもありましたよ。そういうところで、自分が練習してきた技の成果を人に見せる場が少しずつできていったことは、僕のモチベーションになっていきました。

――あれだけ自在にボールを動かせたら、サッカーをやっても絶対に活躍できると思うのですが、実際のところはどうだったのでしょうか。

確かに、フリースタイルを練習するようになってから、あまりボールを奪われなくなりました。ボールさばきは上手くなったと思います。チームの練習では、ドリブルで取られずに進んで行ってゴールを決めることもできるようになりました。でも、今になって思うことですが、フリースタイルはあくまでも個人競技です。相手と競争はしますけど、相手がボールを奪いに来ることはありません。なので、相手がどのように奪いに来るのかを予測することは、実際にサッカーの試合をしている人の方が僕よりも冴えています。どれだけボールを自在に扱えても、奪いに来る相手への対応という点では、サッカー選手ほど備わっていません。実際に、中学生時代の僕も試合などで体ごとぶつかってガツンと奪いに来られてしまうと難しかったですからね。

――サッカーでもフリースタイルでも成長を感じている中で、高校ではサッカー部に入らずにフリースタイルに専念されたということですが、理由は?

中学3年生のときに、フリースタイルの練習で高く上げたボールを取るのに失敗して、頭から落ちてしまいました。救急車で病院に運ばれて1カ月ほど入院をして、脳挫傷という診断を受けました。脳挫傷は、いつ後遺症が出るか分からないというところがあるので、長距離系の運動は控えるようにと言われました。それで、サッカーはできなくなってしまいました。ただ、リフティングはしてもいいですかとお医者さんに聞いたら、それぐらいはいいですよと言ってもらえたので、またリフティングを続けました。思い切り走ることができなくなってしまったのは残念でしたが、その分、フリースタイルの練習に集中するようになりました。

――高校時代は、フリースタイルの練習をどれぐらい行ったのですか。

部活に入らなかったので、午後4時には帰宅していました。それから辺りが暗くなるまでは自宅の近くで練習をして、暗くなってからは近所の空き地にある自動販売機の前で練習をしました。光っているので、足下が見えるんです。遅いときは午後9時ぐらいまでやっていましたね。ただ、毎日欠かさず5時間も練習していたわけではありません。調子が悪いときは30分で止めることもありました。そもそも、5時間も練習をしたら絶対に筋肉痛になりますからね(笑)。だから、次の日の予定や、その日の気持ちに左右される部分はありました。

練習した時間の長さというのは、単に結果でしかありません。やりたいことをやっていたら5時間経っていたとか、やりたいことが全然できそうにないから30分で止めたとか。だから、毎日5時間練習しないと上手くならないという話ではないです。好きなだけやって、自分が納得するまでできればいいのかなと思います。

――長時間やることよりも、夢中になるということが大事なのですね。練習を楽しむコツはありますか。

この技を成功させないと帰らないとか、自分でルールを決めて挑戦することですね。今でも僕がやっているのは、10回できるまで帰らないルール。これを某テレビ番組にならって「帰れまテン(=10)」と呼んでいます(笑)。自分が決めたことに対して厳しくやるかやらないかで、楽しいかどうかは変わってくると思います。10回できるまでと決めて本気で頑張ったときに8回で帰ってしまったら、帰宅してからも気持ちがモヤモヤします。本気でやるから、できたときには嬉しいんです。

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