イタリア流判断力トレーニング――攻守の「セオリー」を身につけることが判断力向上へつながる【前編】
2014年01月29日
サッカー練習メニュー判断力を鍛えるトレーニング
トレーニング1
まず、
①四隅にマーカーを置いた正方形グリッドの線上で4人のパス回し。(図1‐1)
②コーチが「インテル!」と声をかけた瞬間、そのときのボール保持者が対面の選手に向かってドリブル突破を仕かけます。
③残り2人はボール保持者に近い側のマーカーに走ってタッチ、次に反対方向のマーカーに向かってダッシュしスピードを競います。ドリブル突破、突破阻止、ダッシュ勝者に各1ポイントを与え、これを繰り返して合計ポイントを算出します。ドリブル、守備者、ダッシュとどれに当たるかはわからないので、自分がすべきことを一瞬で「判断」しなければなりません。(図1‐2)
(図1‐1)
(図1‐2)
トレーニング2
トレーニング1ではボール保持者のいる方向へダッシュするだけでしたが、「インテル!」という声に加えて、今度は「ミラン!」という声で、ボール保持者から遠いマーカーに向かってダッシュします。選択肢がひとつ増えて全部で4つになる。さらに頭を使って、判断することが必要となります。(図2)
(図2)
トレーニング3
今度は、3つのグリッドを等間隔(三角形に配置)に用意し、トレーニング2の内容を3つのグリッド内で同時に行います。「インテル!」「ミラン!」という声にさらに、「ユーベ!」という声がかかったら、同じグリッドの4人全員が、隣のグリッド(時計回り)へダッシュして移動します。最も速かった組に1ポイント。残る2つの組は腕立て伏せなどの罰ゲーム。4人の間での競争に、今度はチーム間での競争を加わることになります。
子どもたちはルールに慣れてくるにしたがって、選択肢が増えても、判断が少しずつ速くできるようになっていくはずです。(図3)
(図3)
トレーニング4
グリッドの中で、4人ずつ3色ビブスを着せてパスを回す。ルールは「赤→青→黄」の順番で回すこと。日本ではこういう場合、「声のコミュニケーション」を強調しますが、イタリアでは「声を出さずに」というルールでやったりします。パスを受ける前に周囲を見ておかないと、パスを要求する仕草ができません。パスを受けてから考えていては遅すぎます。こういうトレーニングのときにコーチは“Non pensare!(考えるな!)”、とか、“Pensa veloce!(考えろ、早く!)”と声をかけるようにします。
プロフィール
河村優(かわむら・すぐる)
1974年、広島県生まれ。広島観音高-神戸学院大卒。フレスカ神戸のコーチを経て、「日本が世界のトップ10入りするために何が必要なのか?」を自問自答し、指導者修行のためイタリアへ。ペルージャのA.P.D.モンテモルチーノのU-12、U-16監督、ユヴェントスサッカースクールU-17コーチを経験し、UEFA公認B級ライセンスを保有。帰国後はTASAKIペルーレFCのヘッドコーチを経て、姫路獨協大男子部コーチ、女子部監督や兵庫県国体選抜(成年女子)チーム監督を歴任。
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
【FIFA U-20ワールドカップチリ2025】U-20日本代表メンバー発表。石井久継や高岡伶颯らが選出!2025.09.17
-
U-17日本代表メンバー発表!【国際ユースサッカーin新潟】2025.09.08
-
U-16日本女子代表候補、国内トレーニングキャンプメンバーを発表!2025.09.08
-
フットサル日本代表メンバー発表!【AFCフットサルアジアカップインドネシア2026予選】2025.09.05
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- U-17日本代表メンバー発表!【国際ユースサッカーin新潟】
- 【FIFA U-20ワールドカップチリ2025】U-20日本代表メンバー発表。石井久継や高岡伶颯らが選出!
- “いい選手”は「2つのラインの交点に立つ」。ポジショニングに必要な「ボールなしペアリング」とは?
- U-16日本女子代表候補、国内トレーニングキャンプメンバーを発表!
- 町クラブから選抜された選手たちがスペインで武者修行!バレンシアやビジャレアルなどと対戦
- 縦割りの練習、危なくない?
- サッカーを心から楽しむ。日本代表・中島翔哉の少年時代
- 岡崎慎司選手がもたらした知られざる経済効果。中学時代を過ごした街クラブに1300万円を生む『連帯貢献金』とは
- 東京都伝統の『TOMAS CUP』で輝いた5人の選手たち!/ジュニサカMIP
- 指導者たちに聞く!現代の環境の中で求められる指導法とは/座談会企画<後編>