子どもの進路をどう考える? サッカーを楽しむための進路選択を

2014年04月13日

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勉強はサッカーにも活きてくる!

――中学生(12歳)の進路選択はさまざまですが、一番人気はJリーグの下部組織。ここの合否にみなさん、一喜一憂されます。

 まず僕の中で、(進路は)部活動がいい、Jクラブチームがいいとわけて考えません。自分に合う優れた指導者がいるかどうかが大事なのです。少し話は反れますが、私たちはかつてナショナルトレセンを1カ所に180人ほどの子どもたちを集めていました。それを地域に分散して開催するように変更しました。なぜなら、年齢が低ければ低いほど、誰が最終的に伸びるかというのは誰もわからない。「nobody knows(ノーバディーノウズ)」という発想です。従って可能性のある子どもをより多く選ぶためにこの方式にしました。

 こう考えると、間接的にこの答えが見えてきます。つまりJクラブに入れないといって、将来を心配する必要はない。親には可能性を信じてほしい。信じている限り、チャンスはあります。逆に僕が心配しているのは、Jクラブの下部組織に入った親御さん。プロへのレールが敷かれた、プロになれると勘違いされてしまうことの方がむしろ怖いですね。

――進路選択の判断基準のひとつがサッカーと学業の両立。近年は中高一貫や文武両道を掲げる学校が人気のようです。

 両立というと、この日までサッカーをして、ここからは勉強することを考えている方もいますが、日々、サッカーも勉強もやることなんです。確かに練習で勉強する時間は少なくなりますが。実際、サッカー選手で頭のいい奴は多いですよ。学年ずっとトップだったとか……。

 サッカーで大事な要素はコンマ1秒、2秒という速さで状況を把握、判断してプレーを選択すること。足し算や引き算、年号を覚えるのとは違うかも知れませんが、頭の中は相当にフル回転をしています。今、代表にいる選手を見ると、みな”とことん“やっていますね。どうしたらうまくなるか、どうしたらできるようになるかを考えています。頭をフルに回転させる訓練と思えば、サッカーが勉強にも、またその逆も活きてくるわけです。

――最後に、これから進路を選択する子どもたちにアドバイスをお願いします。

 (行きたい学校を)自分で見学することは大事です。いろいろなアドバイスを聞くのも良い。でも最後は自分で進路を決めてください。サッカーをやっていたら、どんなレベルであれ、順風満帆なサッカー人生なんてありえない。良いときもあれば、悪いときもあります。

 苦しいときに「お母さんに言われて、この学校に来たのに失敗した」「あの人に勧められて、このチームに来たのに」と他人のせいにしてしまうのか、しっかりと自分自身を見つめることができるか。自分で進路を決めたのならば、苦しさから逃げずに立ち向かう自分がそこにいるはずです。


プロフィール
小野 剛
(おの・たけし)

1998年フランスW杯では日本代表コーチとしてチームに帯同した。サンフレッチェ広島監督を経て、2006年より日本サッカー協会技術委員長に就任。現在はJリーグ、ロアッソ熊本の監督を務める。

 


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