メッシ、アグエロ、ディマリア・・・アルゼンチンでスキルの高い選手が育つ理由

2014年07月21日

コラム

テクニックを身につけるために必要なETOとは?

――郊外で育った優秀な子どもたちが、クラブに入団するために都市部へ出てくるわけですね。

 アルゼンチンではクラブが必ず寮を完備しており、ここで生活しながらサッカーの指導を受けています。ただし、クラブにもよりますが、宿舎で生活できるのは80パーセントです。

 仮に15人の子どもたちが在籍していれば、郊外の子どもたちは12人しか受け入れることができません。そのため、どこのクラブでも厳しいセレクションが待っています。

 アルゼンチンの名門リーベル・プレートでは、夏だけで約2000人がセレクションを受けにきますよ。

――すさまじい競争社会ですね。では、セレクションでは何が求められるのですか?

 基本的には指導者の見る目がそのまま基準になります。なかでも大切なのは、長期的な伸びしろ。あとは遺伝的な要素や、身体的な特徴がポジションに合っているかどうか。

 例えばFWに求められる身体的な特徴はパワーです。テクニックに関しては、どうやってボールを止めるか、どうやってターンするかなど、すべてを見ています。

――そのテクニックを身につけるには、どういう練習をしたらいいのでしょうか?

 年齢によって、必要な要素が異なります。まず、4~5歳では、ボールを蹴ることしか教えません。次に6~7歳になると、空間の認知能力を育てます。

 パスを例にするならば、「このラインを越えてはいけない」とか、「決められたエリアの中でパスをする」などです。空間に制限を設けた練習が多くなりますね。

 これでベースが出来上がって8~9歳になると、今度は時間の認知能力です。要はパスを出すタイミングで、受け手がほしがっているタイミング、あるいは転がっているボールに入るタイミングですね。

 これらの頭文字を取って『ETO(Espacio=距離感、Tiempo=タイミング、Objetivo=ボールを蹴る)』と呼んでおり、ジュニア年代で身につけなければいけない要素として、アルゼンチンの育成現場では大切にされています。

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