アルゼンチンに見る育成システムの違い。若手の才能が飛躍する育成法
2015年04月10日
コラム失敗しても何度もチャレンジできる。フレキシブルな育成システム
これがトップデビューとなると、クラブによってケース・バイ・ケースだという。国を代表する大きなクラブと街の小さなクラブでは、事情が異なるためだ。
「小さなクラブは選手を試す余裕があり、比較的じっくり見ますね。逆に、勝利を義務付けられる大きなクラブは競争が激しく、ダメとなったら落とされる。よほどずば抜けた才能を持っていなければ生き残れません。選手の育成に関しては、小さなクラブ特有のメリットがあるんです。また、3軍というカテゴリーがあり、ここはトップの試合に出られる実力を持ったユース年代以下の選手が属しています。トップの試合に出られるのが年に5試合か10試合だったとしても、刺激を受けて爆発的に伸びるんです」
このフレキシブルかつ柔軟なシステムは日本とは大きな違い。Jリーグでは一度上に上げたが最後、退路を断つような扱いをする。
「そこなんですよ。上のカテゴリーで試合に出られないとき、遊ばせておいていいことはない。それでもし戻るとなったら、都落ちか挫折みたいに思われますよね。指導者やメディアを含めて、周囲を取り巻く人々がそんな視線を選手に向ける。その影響は小さくありません。本当はそんなこと気にせず、上がったり下がったりしながらチャレンジを続ければいいのに」
この姿勢はクラブが大勢の子どもたちを集めるセレクションの場にも表れる。不合格を告げるとき、指導者は決まってこう付け加えるそうだ。
「今回は残念だったが、私たちのほうに見る眼がなかっただけかもしれない。だから、ほかのクラブのテストを受けてみなさい。違った結果が出ることもあるから」。
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