一人ひとりを見ること。Jクラブの育成組織と渡り合うFC多摩から学ぶ個の育成術
2015年06月08日
コラム「どういう考えを持って、どういう発想を持っているかというところを把握する」
そういった一人ひとりのメンタルを鍛え、強度の高い練習を保つためピッチで戦える選手を育てるうえで重要なことは「オン・ザ・ピッチ」だけでなく、「オフ・ザ・ピッチ」での指導にあると平林監督はいう。
「これは僕の経験値なのですが、個の力を伸ばすだとかメンタルの部分を鍛えるにはまず選手の人間的な資質をしゃべりながら見つけていくということが重要だと思います。結局、指導者としての資質は、どれだけ子どもを惹きつける力があるかということと、個人であるその子がどういう考えを持って、どういう発想を持っているかというところを把握する人間観察の部分がすごく大事だと思うのです。
僕の担当は中3を中心としたトップチームになるのですが、ジュニアからジュニアユースすべてのトレーニングにできる限り行くようにして、選手がどういう顔をしてトレーニングに臨んでいるのかというところを重点的に見るようにしています。ときには選手と話してその子たちの性格を理解したうえで、今後どうしていけば良いのかを各学年2名いる担当コーチにうまく伝えていくようにしています」
平林監督が育てているのは選手だけではない。現在のFC多摩は8名のコーチ陣で支えられている。そのうち7名がFC多摩のOBで、かつて平林監督に選手として指導された人材だ。
そのFC多摩の7期生で2014年にコーチとして戻り、現在はジュニアを主に担当している伊藤篤史コーチには、平林監督から指導者となった今でも”ゲキ”が飛ぶことも少なくないようだ。
「監督からは結果よりも内容。チーム力の向上より個々人の方がより大切だと言われます。結果よりも目指しているサッカーができてないときのほうがすごく怒られますね。選手よりも僕が(笑)。
コーチとして戻ってきた当初は特に怒られました。それでも僕はFC多摩のOBだし、監督の指導方針は理解しているので、ジュニアユースとジュニアで一貫した指導ができればと思っています」
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