「サッカーを練習している80%の子どもたちは、プロサッカー選手へと変貌を遂げる可能性がある」元バルサ育成統括コーディネーターが語る指導者に求められる資質とは

2015年11月06日

コラム

失敗を犯しているのは子どもではなく指導者

 長い指導年月の中で、後にプロサッカー選手として大活躍する若い選手たちを指導してきました。その選手たちは、1人として2つの心臓を持っていたわけでもないですし、3本足だったり、4つの肺をもっていたりしたわけでもありません。彼らはプレーに必要不可欠な知識を少しずつ習得しながらサッカーの頂点へとたどり着いたのです。
 
 サッカー選手はゆっくりと学んでいったことを決して忘れません。なぜなら、サッカーは自然発生的なものではないからです。ボールを自由自在に操るためには下半身を使います。胸はボールをコントロールするために使います。あらゆるプレーが、自然にできるようなものではないのです。サッカーをプレーするには、プレーについて学ぶ必要がありますし、プレーを学ぶためには長い時間とたくさんの愛情、そして有能な指導者が必要です。
 
 サッカーの中での大きな問題は指導者にあります。多くの場合、どういった目的を達成する必要があるのか、どのようにすれば、その目的を達成できるのか、わからないまま指導が行われています。そのために、選手の育成に失敗してしまうのです。謙虚な姿勢の指導者のことを論じているのではありません。

 多くの場合、選手たちは、自分の親によって指導されています。クラブのディレクターたちは、問題を避けるために、良い親を選んでいますが、これは大きな失敗です。最も優先されるべきことは、子ども自身を見てあげることです。だからこそ、出場機会がない選手の家族とは問題が起こり、口論となることもあるかと思います。

 国内の大きなクラブ、そしてそこにいる指導者たちは、最高の資質を持った子どもたちと一緒にトレーニングを行います。しかし、すぐに選手たちをクラブから追い出しては、似たような選手を入団させています。私たちは選手たちを混乱させる状況をたくさん見てきたなかで、ある結論に到達しました。

 失敗を犯しているのは子どもたちではなく、指導者だということです。まず、よい選手選考を行うことができていないということです。そして選手を指導する能力や、選手たちの欠点を改善できるほど有能な指導能力が指導者にないということが育成における問題だと気づきました。

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