日本に守備の“スペシャリスト”が現れない理由とは
2015年11月18日
コラムGKとCBで欧州クラブへ移籍した日本人選手は多くない。これは体格の問題に起因するのであろうか? 現在発売中の『フットボール批評issue08』(カンゼン)のなかでサッカーライターの西部謙司氏がその理由を再考している。
(文●西部謙司 写真●Getty Images)
なぜ日本人のGKとCBは欧州で活躍できないのか
Jリーグは技術的、戦術的にアンバランスなリーグだ。簡単にいえば守備力が低く、ポジションとしてはGKとCBに人材が少ない。そのため、ACLではボール支配で上回りながら、単純なハイクロス攻撃に耐えきれずに失点して敗れるというパターンが多い。
GKとCBは、体格にあまり左右されないサッカーでも、ある程度サイズが必要なポジションである。その点で日本人にはもともと不利なポジションといえる。
長身国のオランダはGKの宝庫になっていて、第二GKでもJに来れば即戦力ともいわれている。仮にGKの外国人枠がなくなれば、外国人で占められる現象が起きても不思議ではない。ジュビロ磐田で活躍しているポーランド人のクシシュトフ・カミンスキーはヨーロッパのトップレベルのチームに所属していたわけではなく、国内リーグのみでプレーしてきたGKだが、J2とはいえ抜群の安定感をみせている。
ヨーロッパへ移籍する日本人GKは極めて少なく、最近では唯一の存在だった川島永嗣が無所属になるというショッキングな出来事もあった。多くのフィールドプレーヤーがヨーロッパへ移籍する中、GKにはいっこうに声がかからない。外国人枠を使いたくないという事情はあるだろうが、それほどの人材もいないということだ。
移籍に関してはCBも同じで、吉田麻也がプレミアリーグのサウサンプトンでプレーしているだけ。今季はサイドバック起用がメインになっていて、CBの海外組は実質ゼロとなっている。SB、MF、FWについてはそれなりの数が移籍しているのに、GKとCBが実質ゼロというところにバランスの偏りが表れている。
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