体のポテンシャルを最大限に発揮するためのメソッドとは

2016年04月18日

コラム

フォームがキレイな選手はカラダ全体の“連動性”が高い

 ただし、人間の体はよくできています。たとえば、片足でも立てるでしょう。これは『調整力』を持っているから。実は、この存在がやっかいです。痛みやケガがあるのに運動できるのは、調整力の働きで他の部位や筋力で補てんしているからです。放っておけば、『ゆがみ』につながります。

 だから、私たちは常に姿勢を戻すのです。この状態を『0(ゼロ)ポジション』と呼んでいます。これを理解しておけば、いつでも体をニュートラルに戻せるので、サッカーをしている子どもたちも練習がプラスとして上積みできます。

 最近は姿勢の悪い子を多く見かけます。シューズの進化で姿勢が悪くともバランスが保てたりしていることも要因。携帯の発達と共に、漢字を忘れていることがあるでしょう。このように人間の体もテクノロジーの発展で退化していることもあるのです。だから、小さい頃から体のケアをせずにスポーツをやっている子は体全体で正しいバランスがとれず、無理やりバランスをとるので、ゆがみのある子が増えています。

 当然、調整力が働いているからマイナスの状態で支え続けています。小中学生までは気づきませんが、高校生ぐらいになると腰に痛みを感じる子も増えているはずです。車もサイドブレーキをかけたまま、1m、100m、1㎞ぐらいは走るでしょう。しかし、100㎞になると故障する確率が高くなります。人間の体も同じです。

 残念ながら老化や劣化は止められません。ただ、毎日ゼロポジションには戻せます。それは若ければ若いほどニュートラルな状態に早く戻せるのです。特にジュニア世代はまだ無駄な筋肉もついておらず、柔軟性があるから早い。誤解してほしくないのは、柔軟性とは体が大きく曲がるとかそういうことではありません。スポーツ選手にとっての柔軟性とは、連動性の高さなのです。

 その良い例がイチロー選手です。彼はいつもストレッチをしています。あれは関節の連結部の可動域を広げるためです。全身を入念にやっているでしょう。体の一部だけでは決して意味がありません。連動性というぐらいだから体全体にかかわるのです。

 サッカーで実例を挙げると、キックの上手な選手。そんな選手はフォームもキレイでしょう。つまり、体全体が使えている証拠であり、体の連動性が高い証拠でもあります。フォームが汚い選手は動きがぎこちないと感じませんか。連動性は『動き』の中での話だから、動きがキレイな選手は結果としてうまい選手が多いのです。

MIAMI, FL - JUNE 11: Ichiro Suzuki #51 of the Miami Marlins stretches before an at bat during the eighth inning of the game against the Colorado Rockies at Marlins Park on June 11, 2015 in Miami, Florida.  (Photo by Rob Foldy/Getty Images)

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