震災を乗り越えて――。ソレッソ熊本が挑んだチビリンピック全国大会

2016年05月10日

コラム

5月3日から5日までの3日間にわたって、神奈川県横浜市で『JA全農杯チビリンピック2016小学生8人制サッカー大会』の全国決勝大会があり、全国9地区の予選会を勝ち抜いた10チーム(関東地区は上位2チーム)が、決勝の舞台となる2002年のFIFAワールドカップ日韓大会でも決勝が行われた日産スタジアムを目指して熱戦を繰り広げました。今年の九州代表はソレッソ熊本。4月14日の地震発生以後、最大震度7の強い揺れが2度も襲い、甚大な被害を受けた熊本県ですが、「こんなときだからこそ!」と横浜行きを決断したのだとソレッソ熊本の広川靖二監督はいいます。そこにはどんな思いがあったのでしょうか?

(文・写真●山本浩之)


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「僕らは、いつまでも立ち止まってられない!!」

 熊本地震の発生から3週間を迎え、ソレッソ熊本の代表でもある広川靖二監督はこう振り返りました。

「木曜日の夜に最初の強い地震がありました。週末には大きな大会が予定されていたのですが、金曜日の時点で、これはサッカーの試合どころではないと思っていたところに、土曜日になって2回目の大きな揺れがありました。子どもたちの学校も再開のめどが立たなくなり、いつも使っているグラウンドもすべて閉鎖になってしまいました。被害の大きかったところは、僕らが慣れ親しんだところです。それが一瞬で崩れてしまったことに対して、自然の驚異を感じました」

 地震の影響でソレッソ熊本の選手たちも、長い子は1週間、短い子でも2、3日は避難所や車での生活を余儀なくされました。「自宅に戻るのが怖い、夜になると怖い、家の中で寝るのが怖い」という不安やストレスを感じながら過ごしていたようですが、こうした状況のなかでも、選手たちが気にしていたのはチビリンピックのことでした。

「地震によって、子どもたちの気持ちも、置かれている状況もバラバラになってしまいました。すぐにいつもの生活に戻ることのできた子もいれば、避難所生活が続いている子もいました。でも、この子たちにはチビリンピックという目標があったので、復興への第一歩をいち早く踏み出せると思いました。だから、僕らは『チビリンは行くよ。大丈夫だよ!』とすぐに意思表示をしたんです」

 広川監督は、週が明けて火曜日になると動き出しました。ただ、すべての子どもたちが1カ所に集まれるような状況ではなかったため、スタッフが避難所になっていない小さな公園に散らばり、それぞれの公園で子どもたちとボール遊びをしたといいます。「笑いたい子は友達を連れておいで!」と子どもたちに元気な声をかけて歩き回った広川監督。それは「いつまでも立ち止まっていてはだめだよ」という子どもたちへのメッセージでもあったのでしょう。公園にはソレッソ熊本の子どもたちだけでなく、小さな子どもから女子高生まで集まったといいます。

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