心理学者に聞く! ブーイングが選手のパフォーマンスに与える影響とは?

2016年05月30日

メンタル/教育

〝コア(もしくは古参)サポとニワカサポの問題〟

――ブーイングとは少し離れますが、サポーター間でずっと問題になっているものに、いわゆる〝コア(もしくは古参)サポとニワカサポの問題〟というのがあります。その両者は考え方やそれに伴う行動でしばしば対立しているんですが、それについてはどう思われますか?

「問題があるとすればコアになればなるほど排他性が強くなる傾向があるということでしょうか。それが如実に表れたのが〝JAPANESE ONLY〟の横断幕ではなかったかと思います。あれは人種差別というよりは単純に自分たちの大事な場所に来て欲しくないという排他的な考えから起こったものなんじゃないかという感じを私は受けました」

 これについてはテリトリアリティ(なわばり性)という概念だと思うのだが、今回は掘り下げない。

――私が勝手に「先住視線の優位」と名付けている現象があって、電車などに乗ると先に乗っていた人の視線の方が強いですよね。しばらくすれば自分も後から電車に乗ってきた人に対して視線が強くなるんですけど、乗ったばかりの時はなぜか視線が弱くて、座席に座っても前の人の顔を正面切っては見られない。スタジアムでもそれと同じ心理が働くんじゃないかって思うところがあります。

「なるほど。基本的にファン歴や観戦歴が長ければ長いほど愛着の割合も高く強くなっていくという相関関係はあると思うので、ダイレクトじゃないにしてもそれに近いことは起きているのかもしれませんね」

――サポーターというのはたとえば電化製品などの購買意識と違って、不満があってもまたスタジアムに足を運びます。商品に不満があればその会社の製品は買わなくなるのが普通だと思うんですがサポーターは違います。同じ人間でありながら製品購買とサッカーでは意識や行動が全然違う。なぜなんでしょう?

「それは我々もよく使う例です。再購買に関しては顧客ロイヤルティという言葉で表現するんですが、気持ちと行動、ふたつの側面があります。不満があるのに再購買するというのはまさに気持ちと行動が伴った高いロイヤルティを持った人ですね。そのロイヤルティにはチームアイデンティフィケーションが概念として強く影響を与えているというのがこれまでの研究でサポートされています。自分とチームを一体化させるというような社会心理学の概念です。それが高くなるのがスポーツ観戦の特徴のひとつなんですね。今のJリーグ観戦者というのはそれが非常に強く、それ自体はいいことなのですが、それに続く新規客がついてきていないのが課題となっています」

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