FC東京育成部長が語るU-12からトップまで一貫した育成プラン。目指すは「育成の前倒し」

2016年07月15日

インタビュー

今シーズンからJ3にU-23チームが参戦したFC東京。U-23チームの成功は、FC東京のみならず日本サッカー界にとって非常に大きな意味を持つだけに、FC東京が考えているプランは気になるところです。2014年からFC東京で育成部長を務めている福井哲氏の言葉を『フットボールサミット第35回』から全文紹介します。

(取材●後藤勝 写真●ジュニサカ編集部)

『フットボールサミット第35回』より転載

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異国の地で感じること

――ここ数年、下部組織の選手たちがリーグ戦をこなしながら海外遠征に行く機会が増えてきました。

福井「大会に招待していただく機会が増えたのでチャレンジさせています」

――そこに関わる話だと思うのですが、トップも公式戦の合間を縫って海外遠征や対外試合を行なっている印象です。異国での試合、もしくは外国のチームとの対戦は日本人選手にとって何か効果があるような気がします。

福井「日本はヨーロッパから距離があるため、海外の選手やチームに比べるといろいろなサッカー文化に触れる機会に乏しいと言われています。陸続きの国は身近に強豪国があり、強豪の選手がいるため他国の文化に触れると同時に、いい意味で刺激を受けています。

 若い世代から自分よりもうまい選手たちと強度の高い試合をすることにより成長し、その積み重ねがあるから(日本人が抱く)外国籍選手への苦手意識が軽減されたり、なくなると考えられています。積極的に海外に慣れ、刺激を受けるという意味で、若い世代から海外遠征を組んで行ったほうがいいのかなと感じています」

――もちろん、海外に行った選手が必ずしも大成するわけではありません。ただ、久保建英くんを見ていてもスペインにいたので、海外の選手にも何ら物怖じすることはありません。もともとのパーソナリティがあるにしても、おそらく、そういうものは出てくるのではないかと思います。

福井「最近は交通網の発達で海外に行くことが容易になりました。FC東京に限らず、いろいろなクラブが海外遠征に行く環境が整ってきています。非常に喜ばしいことです。先ほど刺激と表現しましたが、少し乱暴な言い方をすると、日本が緩くなってきている。生活の環境を含め、便利になっているので、不便の中でもう一度サッカーの本質というか、闘う姿勢を見直してきてほしい。海外の試合では、そこが顕著に出てくると思います。

 海外遠征でどんなストレスのかかる環境の中でも自らで考えて環境に適応していけることを選手たちに求めていかなければと思っています。現状の便利になった日本にいて、そういう危機感はこれまで以上に持っています」

――確かに、便利になりすぎたところはあります。

福井「選手たちは何事も与えられた環境に身を置いています。だから、彼らもそれが当たり前だと思っています。本来は、特殊な環境なんですね。それが普通ではないと気づかせるためにも不便さを感じさせないといけないのかな、と。どのように考えて工夫したら、便利に、どうなっていくのか。ここがサッカーでも力として必要になってきます」

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