なでしこジャパン・高倉麻子監督、澤穂希さんらがトークイベントに参加。失意の五輪予選敗退から再起に向け日本女子サッカー界の課題を語る
2016年09月30日
コラム早急に手を打ちたい「13歳での競技人口の低下」
中小路編集員が年齢別の女子登録者数のグラフを見て「13歳で、急に登録人口が落ち込んでいる」ことを質問すると、今井委員長はその原因をこう答えた。
「12歳までは男子と一緒にプレーしてもあまり問題がないが、13歳からは体力差が現れ始め、一緒にプレーすることが難しい状態になります。全国を見渡しても、女子だけの中学生のチームはまだ少ないのが現状です。サッカーが身近にないので、中学生になると身近にある他のスポーツを選びます。高校生になると、一度止めた子たちが少しは戻ってはきますが、すべてではありません。中学生でサッカーを続けられる環境があれば、グラフ全体の山がもっと大きくなるので、競技人口も増えるはずだと思っています」
また、スポーツジャーナリストの松原さんが現在なでしこジャパンの世代交代を進めている高倉監督に「個性のある選手を大切にしている理由」を問うと、同監督はその思いを聞かせてくれた。
「日本の良さはチームワークや最後まであきらめない心の強さがあると思います。これまでは個性豊かな選手たちがまとまった結果、いい成績が残せました。海外の方が日本の女子サッカーを語るとき、必ず『組織的なプレー』『献身的なプレー』がいいと評価してくれて、それは私たちにとってもすでに外せない要素です。ただ、体が大きくスピードのある欧米の選手たちの『個』に敵わないから組織で戦うことは『違う』と思っています。
最初から組織に逃げてはいけない。私は『個』があって、そこからチームに作り上げていくのが大切だと考えています。だから、選手たちにはピッチでもっと強い『個』を表現して欲しい。当然チームワークは外せませんので、そこは指導者が伝えながら選手たちの個性をつぶさずにチームに組み込んでいこうと進めています…」
最後に、参加者の質問コーナーが設けられ、さまざまな質問が投げかけられた。その中で、今年からなでしこリーグを応援しているというファンから「サポーターに何をして欲しいですか?」という率直な質問があり、女子サッカーを長く引っ張った澤さんはストレートに思いを口にした。
「私は応援してくれるだけで十分だと思っています。求めているとかじゃなく、隣にいる高倉さんを含め、昔は観客も友達や家族しかいないような状況でプレーしていて、知り合いを探せばすぐに見つかるような環境で試合をしていました。だから、試合を見て来てくださる方がいるというのが純粋に嬉しいですし、その中でプレーができるのは本当に幸せなことです。苦しいときに応援があると気持ちがリセットされて、もう一度がんばろうという気持ちになります。いいプレーを褒めてもらえると自信につながりますし、サポーターの存在は選手にとって力になるので、私は会場に足を運んでくれて応援してくれるだけでうれしかったです」
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