反骨心と向上心を感じさせる日本代表・原口元気選手。「生意気だった」少年の成長記
2016年10月07日
コラム「今日の試合をしてしまうと、また危機感しかない」。6日、ロシアW杯最終予選ホームのイラク戦で劇的な勝利に貢献した原口元気選手(ヘルタ・ベルリン)は、試合後そう語った。今シーズン、クラブでも代表でもコンスタントに活躍している原口選手はどんな少年時代を過ごしたのだろうか。『僕らがサッカーボーイズだった頃3』より一部抜粋して紹介する。
(文●元川悦子 写真●Getty Images、浦正弘)
常に上昇思考を持って世界で戦うアタッカー
2014年夏にドイツへ渡り、ブンデスリーガ1部のヘルタ・ベルリンでプレーする原口元気。最初のシーズンはリーグ戦21試合出場1ゴールにとどまったが、2年目の今季は開幕からコンスタントにピッチに立ち続けている。パル・ダルダイ監督からの信頼も絶大で、彼は両サイドのウイングや2トップの一角、1トップと実に多彩なポジションで起用され、数多くの攻撃チャンスに絡んでいる。
11月6日の今季ブンデス第12節・ハノーファー96戦で、前半33分にFWサロモン・カルーに出した絶妙のスルーパスなどは、彼の視野の広さと高度なテクニック、卓越した攻撃センスが凝縮されていた。本人は「久しぶりに得点に絡めてよかった」とコメントしたというが、浦和レッズ時代に比べてプレーの幅や選択肢が広がっているのは間違いない。
「元気はサイドプレーヤーのイメージが強いですが、真ん中でゲームメークもパス出しもできる。ドイツへ行って走力が身について、今はどこでもできるけど、やっぱりベストなポジションはトップ下じゃないですかね。真ん中にいれば持ち前の突破力もシュート力も生かせますし、ゴール前に入っていく回数も増える。
もちろん日本代表でもヘルタ・ベルリンでも監督さんの意向があると思いますが、長い間、あの子を見てきた私はそう感じますね」と父・一(はじめ)さんは息子の際限ない可能性に大きな期待を寄せた。
「自分自身はどのポジションもできるっちゃできる(笑)。いろんなことに応えられる能力をある程度は持っているとは思います。今のところ僕はたくさんのポジションで使われる状況を割り切って楽しんでいます。トップに入れば点を取るチャンスも増えますし、前のポジションはどこでも意欲的にトライしていけると思います」と原口自身は努めて前向きに話していた。
その彼が目下、目指しているのは、ブンデスで安定して10点を取れる選手になること。「ヨーロッパで、僕のポジションで10点取れたとしたら、それは評価していいんじゃないかな。それを1シーズンだけじゃなく、2年、3年と継続できたら理想的。本当に力をつけて、少しずつゴール数を増やしていくのが一番いいですね」と本人は力強く語っていた。
急成長を遂げている原口に父・一さんら家族、松本ヨウ佑(※ヨウは巾ヘンに昜)総監督ら江南南スポーツ少年団時代の指導スタッフ、淀川知治・現日本サッカー協会ナショナルトレセンコーチ(女子担当)ら浦和レッズアカデミーに携わったコーチ陣も「いずれ世界に名を馳せるアタッカーになってほしい」と夢を描いている。自らを献身的に支えてくれた人たちのために、原口は誠心誠意、レベルアップに努めていくつもりだ。
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