鹿島アントラーズ10番・柴崎岳のルーツ。「プラチナ世代」の天才はどのような環境で、どのように成長したのか?
2016年12月19日
コラム2016年、鹿島アントラーズの「10番」を背負う柴崎岳選手。昨日行われたクラブワールドカップ、レアル・マドリーとの一戦では2ゴールを決める活躍見せた彼は、かつてどのような選手であり、どのような環境のもとで成長を遂げたのか。青森山田高校で中高一貫教育のなかで指導を受け、小学生時代から彼のプレーを知る総監督である黒田剛氏に話を聞いてみました。
(文●松坂匡克/青森GOAL編集長 写真●田中伸弥、松坂匡克)

今季から鹿島アントラーズの10番を背負う柴崎岳。写真:Shinya Tanaka
ピッと伸びて目を惹いた姿勢
――黒田監督が当時の柴崎岳選手について知ったのはいつ頃で、そこに見いだした才能とはどのようなものだったのでしょうか。
黒田 はじめは青森県少年サッカー大会ですね。当時小学6年生の柴崎を見た印象は、「ヘディングはできない」「走れない」「左足は上手くない」「運動量は少ない」という選手でした。ただ、それでも背筋がピッと伸びて姿勢が良く、(利き足による)足元のボールコントロールとパスが抜きん出ていました。さらに、ボールを持ってからのドリブルのスピードと、加えて1人だけヒュッと大きい体格が魅力的でしたね。最も驚いたことは、事前の動作として、自分がパスをもらう瞬間に首を動かしながら左右の状況を見ていました。他にも足元に入ってきたボールに変化を加えたり、判断を変えたりしたこともあります。プロでもなかなか出来ないような、習得しにくいスキルを彼はもうすでに小学6年で身に付けていました。
指導者としてウィークポイントや出来ていない事に関しては、これからの練習でいくらでも向上できますが、小学6年の彼が持っていた判断力や視野の広さは、後から習得しにくい能力です。そういう事を考えても、この才能は鍛えればかなり高いところまでいくだろうと思いました。だから、そのプレーを見た瞬間に、それこそすぐに青森山田中学に来ないかと声をかけたんです。
彼のキックにおける特徴をゴルフのスウィングに例えるとするなら、(足一脚で)ドライバーからショートアイアンまで全てのクラブを使いこなせるということです。高さ、距離、スピードに合った最適なクラブを選んで、使用できるということが最も優れているところです。身体的には、すごく柔らかい股関節を持っていますし、前を向きながらでもインサイドでサイドバックにパスできる柔軟性があります。彼の股関節の柔らかさは、サッカー選手としてかなりプラスに働いていた部分ではないかなと思っています。
弱点の克服にかけた膨大な時間
―――前の質問に関連しますが、彼はどのようなプレーを強みにしていたのか、またそれをどのように成長させていったのでしょう。
黒田 「状況判断、ボールを止める、蹴る、運ぶ」という、基本技術の精度の高さやボール保持する技術がとても上手く、ミスが少ないことが彼の強みで、何よりも優れている事は性格が努力家である事です。小学生時代のウィークポイントを彼が誰よりも一番よく分かっていましたね。それこそ中学校にあがると、自分のウィークポイントとしっかり向き合い、克服する作業を怠りませんでした。
成長すればするほど、弱点を克服する作業に掛ける時間や量は増えて、高校生になるころには(練習量は)当時の何倍にも増えていきましたよ。中学3年から高校1年に上がる頃には、蹴れなかった左足をかなり高いレベルまで蹴れるようになっていましたしね。技術的な面だけでなく、高校2年の頃にはチームでも先頭を走るくらいのフィジカルを身につけていて、筋力トレーニングも取り入れながら、当たり負けしない身体を作っていきました。そのあたりは、彼も「クールで足先だけの選手」と思われることをすごく嫌っていましたから。高校生のある時期からでしょうか、スライディングをしたり、相手選手に厳しいプレーをしたりして、イエローカードをもらうこともありました。「スマートなサッカー」という枠組みを脱皮したい、という気持ちがもたらしたプレーの変化クポイントを彼が誰よりも一番よく分かっていましたね。それこそ中学校にあがると、自分のウィークポイントとしっかり向き合い、克服する作業を怠りませんでした。
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