「日本の若い選手は敵のいない状態でのシャドートレーニングをやりすぎる」横浜FM・モンバエルツ監督が語る、傑出した日本人選手が現れない“明確な原因”

2017年02月16日

インタビュー

「日本サッカーに世界のスタンダード植え付けようとしている」

――日本で自分が孤立していると感じたり、文化の壁にぶつかったりしたときに、サポートしてくれる人はいるんですか?

「まず言っておきたいのは、身近にいる人々は本当に良くしてくれているし、私を常に励ましてくれる。マリノスというクラブ自体も、ベストを尽くしている」

――文化の壁をどうやって乗り越えていくかは、日本サッカーの未来にとって鍵を握っています。

「たとえば選手の中には、『日本のサッカーはヨーロッパのサッカーとは違うんだから、ハイプレスをかけたり、激しくデュエルを仕掛けたり、スピードに乗ってリズムよくプレーしていく必要などない。ボールをもっと回して緩急をつけ、相手を走らせていけばいい』ということを言ってくる人もいる。

 たしかに何事もバランスが重要だ。

 しかし、そんなスタイルを今のサッカー界で追求していこうとすると、国際舞台で袋小路に陥ってしまう。日本は世界から取り残されてしまうんだ」

――本田選手は、ワールドカップアジア予選においてヴァヒドが採用した戦術、つまり速攻を重視したスタイルに異議を唱え、ボールをもっと回すように示唆しましたが、私は論外だと思いました。日本では、かつてのバルセロナやスペイン式のパスサッカー信仰が根強い。でもバルセロナはチャンピオンズリーグでバイエルンに破れ、スペイン代表はワールドカップブラジル大会において敗退。どちらもアプローチを変えています。

 日本のサッカー界は、もはやどこにも存在しないバルサやスペイン代表の「幻想」に、今も追いつこうとしている。その点、鹿島アントラーズなどは、貴重な例外かもしれません。鹿島は独自路線を貫いたからこそ、レアルをあそこまで追い詰めることができたのですから。

「グアルディオラは、マリノスが所属している『シティ・フットボール・グループ』のボスの一人だし、パスを多用したサッカーをしている。でも私は、パスサッカーばかりに偏るのではなく、最適のバランスを見つけようと努めている。

それになにより、グアルディオラ自身はティキ・タカを推し進めたことなど一度もない。彼が目指しているのはあくまでもゴールを奪うことであって、ポゼッションを高めたり、ボールを回すことではないんだ。

 パスをするのはデイフェンスのシステムに穴を見つけ、そこからスピードに乗って激しく攻撃していくためだ。必要以上に、パスを回す必要などないんだよ。私はマリノスと日本サッカーを愛すればこそ、世界のスタンダードを植え付けようとしているんだ」

YOKOHAMA, JAPAN - APRIL 25:  (EDITORIAL USE ONLY) Erick Mombaerts,coach of Yokohama F.Marinos looks on during the J.League match between Yokohama F.Marinos and Shonan Bellmare at Nissan Stadium on April 25, 2015 in Yokohama, Kanagawa, Japan.  (Photo by Masashi Hara/Getty Images)

(エリク・モンバエルツ監督のインタビューの完全版は、フットボール批評issue15でご覧ください)


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