中村俊輔選手の監督論。数多くの名将たちと共に過ごした経験から育まれた深遠なるサッカー観
2017年05月15日
インタビュー中村俊輔選手の目には何がうつっているのか。技術が洗練されたイメージのある中村俊輔選手だが、ピッチ内外を俯瞰して見ることができる彼だからこそ語れるサッカーの話がある。今回は、5月6日に発売した『フットボール批評issue16』から中村選手のサッカー観を一部抜粋して紹介する。
(文●西部謙司 インタビュー写真●山本雷太 写真●Getty Images)
「僕も監督になったら、案外自分みたいな選手にああだこうだ言い過ぎて潰しちゃうかもしれない」
フィールドの状況が見えているだけでなく、フィールド外のこともよく見えるようになった。ある意味、中村俊輔は「監督」の視点で物事を見ることもできる。
「監督目線? あ、いやそれダメです。それいろいろ言われかねないんで、やめてください」
と、釘を刺されたので「監督目線」はやめておく。けれども、これだけ長くキャリアを積んでくると、1人のプレーヤーとしては見えすぎてしまっている部分は否定できないと思う。すでに監督になるための準備も始めていて、ライセンスもB級までは取得しているそうだ。将来の“中村監督”へ向けて、監督が何をしていて、チームがどう変化しているかは気になって当然だろう。もし、中村監督が中村俊輔を使うとしたら、どうするのだろう?
「俺みたいな選手がいたら、フォーメーションは4-3-3ですね。右のインテリオールで起用します。左は力のある外国人か伸びている日本人の若手。まあ、バルセロナを見過ぎているのかもしれないけど。流動的にはしません。そのポジションのコマとしてやらせます。え? 俺みたいな選手じゃなくて、俺でいいの? だったら絶対トップ下!」
そうなんだ、ある意味安心しました。ところでこの後、中村は「そういえば」と違う話をしはじめた。
「そういえば、今まで俺とヤット(遠藤保仁)とケンゴ(中村憲剛)の3人を一緒に使った監督って、オシムさんしかいないんだよね」
――オシムさんにアジアカップの後で聞いたら、「少なくとも2人は使うつもりだった」と話していました。アジアカップの前までは、さんざん「エクストラキッカーは1人か多くても2人」と話していたんですけどね。
中村 3人を併用したのは、なんだったのかなーと思う。3人のうち1人ぐらいはスプリントしないと上手くいかないだろうから、もっと走れというメッセージだったのかな。そういえばオシムさん、「こんなに走るとは思わなかった。謝るよ」と言ってました。
(中略)
――(オシム監督は)水を運ぶ選手って言ってたでしょ。ヨーロッパはマイスター制度なので、よく使う比喩なんです。煉瓦を積むのは特殊技能の煉瓦職人でマイスターなの。水を運ぶのは、マイスターのために運ぶ。3人はマイスターだったと思います。で、マイスターを生かすには水を運ぶ選手が必要だと。たぶん相手との力関係でマイスターと水を運ぶ人の比率は変えるつもりだったのでしょう。
中村 そうかー、面白かったなあ。
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 【AFC U17女子アジアカップ インドネシア2024】U-17日本女子代表メンバー発表!2024.04.15
- 「JFAナショナルトレセンU-12関西」が開催!2024.04.11
- 「東北トレセンU-13」が開催!2024.04.10
- 【AFC U23アジアカップ カタール2024】U-23日本代表メンバー発表!2024.04.08
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.22
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.22
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.22
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.22
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.22
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- フォームの意識だけではキックは改善しない。キックの名手たちの共通点とは【フィジカルのプレーモデル】
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 自分よりも大きくて速い選手も1対1で抑える。内田篤人から学びたい守備時の姿勢【フィジカルのプレーモデル】
- 4ゴールのゲームは守備の練習にはならない!? 課題となるタスクから逆算し正しく制約を課す【スモールサイドゲーム】
- 「論理と感覚を合わせたい」松井大輔はどんな指導者を目指すのか? 稀有なキャリアを歩んだドリブラー「人と違うものを提供」
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- 三笘薫のドリブル・カットインの秘訣に迫る。1対1で相手を抜き去るための“沈む動き”とは【フィジカルのプレーモデル】
- 「部活」の在り方とは。公立中学校サッカー部の実態を探る
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉