「寝る子は育つ」はある意味本当。睡眠研究のスペシャリストが語る子どもの成長と睡眠の関係

2017年07月14日

コラム

西野精治

子どもが健やかに育つためには大人が睡眠の重要性を知ること

 日本には昔から「寝る子は育つ」ということわざがありますが、これはある意味本当です。

 睡眠は脳の発育だけでなく身体の形成上大事ですから、良い睡眠がとれていなければ外見の成長にも影響がでてしまうでしょう。睡眠の量は、大人になるにつれて減少していきます。これは、子どもの体のほうが睡眠を多く欲しているからです。

 しかし、厳密にいうと睡眠において一番重要なのは、最初の深い睡眠をどれだけ良いものにできるかどうかです。そこに問題がある子とそうでない子では毎日のことなので影響が出てくることでしょう。また、日本ではよく「睡眠のシンデレラタイム」といわれるものがありますが、そんなものはありません。良い睡眠をとるためには、毎日できるだけ同じような時間に寝るようにすることが重要です。いつも同じ時間に寝て、しっかりとした睡眠時間を確保していれば何時に寝てもかまいません。

 スペインなど、サッカーが強い暑いラテン系の地域には、シエスタという文化もあります。これは、昼間の暑いときは休息をしたほうがいい、という“効率”を考慮したものだといわれています。アメリカでも西海岸にあるアップルやナイキなどの企業は必要性に応じて昼寝を推奨しています。日本では、昼寝の文化が取り入れられることは難しいかもしれませんが、とある受験校では「昼寝をさせたら成績が伸びた」というデータも存在するそうです。これは裏をかえせば慢性的に睡眠不足な人が多いということなのですが…。

 先ほど、なるべく同じ時間に眠りにつくことが重要と説明しましたが、眠気は我慢する必要は一切なく、寝たいときには寝るのが一番です。無理に起きていてもろくなことはありません。眠いタイミングを逃すと眠れなくなってしまうこともあります。「寝たい」という状況は、体が睡眠を必要としているサインなのです。よく、分散して睡眠をとることはよくないことだと本などに書いてあることがありますが、私は別にかまわないと思っています。例えば、二度寝や一度寝てから「宿題」などに取り組むことは、効率も上がる場合があるので必ずしも悪いということではありません。睡眠不足の蓄積がより悪影響を与えます。
 
 早く寝たいが、なかなか寝つけないという子には、やはりまず睡眠の重要性を認識させることです。睡眠の重要性を知り、体温のことや睡眠パターンなど認識する。それでもダメな場合はセラピストなどに相談して悪い習慣を断つことです。簡単なところでいえば、ベッドは寝るためだけのものにする。そこで本を読んだりゲームをしたりしない。

 睡眠は効果が目にみえにくいものなので、子どもの健やかな発育を望むのであれば、やはり大人が睡眠は重要であるというを認識を持つことが大事です。

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【書名】スタンフォード式 最高の睡眠
【発行】サンマーク出版
【著者】西野 精治
【価格】1,620円

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プロフィール
西野 精治
(にしの せいじ)
1995年生まれ。大阪府出身。スタンフォード大学医学部精神科教授。スタンフォード睡眠・生体リズム研究所所長。「睡眠の謎を解き明かして社会に還元する」を命題とし、多くのアスリートから支持されている『エアウィーヴ』の開発にも関わる。著書には『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)がある。


 

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