日本サッカーの良さを持つ韓国代表選手に――。横浜F・マリノスユース・柳知廈/ユースプレーヤー成長記

2017年07月21日

コラム

日本サッカーの良さを持つ韓国代表選手として

ユ・ジハ10
【写真●山本浩之】

 あれから6年が経った今。ジハは横浜F・マリノスユースのセンターバックとして背番号3をつけている。4月8日と15日の『高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ』の試合後、ジハに話しを聞くことができた。

「石井コーチとの練習はよく覚えています。あのときの練習は3時間あったんですけれど、石井コーチとふたりで練習をする時間がありました。ヘディングの練習とかに最後まで付き合ってくれたので成長することができました。あの経験は自分にとって良かったんだと思います」

 ジハは、いま日本でサッカーができることが幸せだというが、小学生のときは、やはり韓国を離れがたい気持ちもあったようだ。

「韓国では小学4年生のときにサッカーをはじめました。韓国のKリーグにも育成組織はありますが、ジュニア年代だと、それほど強くないですね。普通の小学校のサッカー部のほうが強いんです。僕も韓国で1年半ぐらいは(小学校のサッカー部を)経験しています。
 
 最初は日本に来たくなかったんですが、いま僕にとって、韓国と日本のサッカーを経験しているのは大きなメリットになっています。自分の良さには、日本のサッカーの良い部分も含まれています。日本のサッカーを知っていることで、韓国代表に選ばれたときに、他の選手との違いを出すことができました。他の韓国代表の選手とは全然違う。自分だけの個性を出すことができたんです」

 高校1年生のときには、有望な韓国人ディフェンダーを強化することを目的としたコリア・シールド・プロジェクト(主催:財団法人ホン・ミョンボ奨学財団)に選出され、元韓国代表の洪 明甫(ホン・ミョンボ)氏から守備に特化した指導を受けた。「他に選ばれていたのは、みんな高校2年生。僕だけ1年生でした。あそこでは本当に守備のことだけでした。守備しかやりませんでした」とジハは教えてくれた。

 2017年には韓国U-18代表にも召集された。韓国では肉体的にも精神的にも強さが重視される。現在185㎝ / 72㎏のジハもセンターバックとしては細目なのだという。あざみ野F.C.の石井コーチが、現役時代に元韓国代表でサンフレッチェ広島にも在籍した盧廷潤(ノ・ジョンユン)氏と対峙したときの話しを語ってくれた。

「僕はガンバ大阪のときに、左サイドバックで出場することが多くて、サンフレッチェ広島戦ではノ・ジョンユンにつくことが多かったんです。あの人は小柄でしたけれど、すごくガッチリしていて、スピードもあって、気持ちが無茶苦茶強かったんですよね。僕もスピードがあるほうだったので相性は悪くなかったのですが、彼は体からメンタルの強さを発散していました。ジハからも自然にそういうものが感じられるようになったら面白いかなと思うのですが、ジハは優しいんです。それがサッカーにも出ていたような感じがありました。でも、グラウンドでは、その優しさはいらないときもある。相手になんとしても勝ってやるという気持ちの部分でも戦わなければならないわけです」(あざみ野F.C. 石井壯二郎コーチ)

OCT 1993:  JUNG YOON NOH OF SOUTH KOREA CHALLENGES FOR THE BALL WITH TOSHINOBU KATSUYA AND TAKUMI HORIIKE OF JAPAN DURING THE ASIAN WORLD CUP QUALIFIERS.  Mandatory Credit: Shaun Botterill/ALLSPORT
【元韓国代表のノ・ジュンユン。サンフレッチェ広島で活躍。写真は1994W杯予選 日本vs韓国(写真●Getty Images)】

 そこまで石井コーチは話しをすると「でも、ジハは、すでにそれを克服してピッチ上では鬼になっているかもしれないですね」と付け加えた。確かにその言葉通りだった。4月15日の柏レイソルU-18戦で、マリノスユースは勝ち点3こそ逃したものの、レイソルに打たせたシュートは前後半を通して2本だけ。無失点に抑えたマリノスユースのディフェンス陣。ジハのみせた力強いプレーを写真に残すことができたのだ。そういえば、ジハは自分のプレーの特徴として「タフに相手にくらいついてディフェンスをする」と自信を持って答えていた。

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【写真●山本浩之】

 そんなジハのことを横浜F・マリノスユースの西谷冬樹監督は、このように評している。「足りないものはたくさんありますが、まだまだ彼は成長過程で、課題に対して意欲的に向き合っている。もうひと伸び、ふた伸びを期待しています」

 いま、ジハは、横浜F・マリノスのトップチームに昇格するのをいちばんに考えてサッカーに取り組んでいる。

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