出身者が帰ってこれる場所に。地区トレセンの指導者が語る理想の“トレセン”像
2017年11月13日
コラム
【安部監督は夏に行われた『JFAフットボールフューチャープログラムトレセン研修会U-12』に神奈川TCのスタッフとして参加(写真●山本浩之)】
伊勢原トレセン出身者が帰ってくることのできる場所を目指して
また一方で、伊勢原市内の各チームにしても、指導者が地区トレセンの指導を自チームに還元することで「どのチームも攻撃的なサッカーをしていて、伊勢原市のリーグ戦を勝ち抜くのが一番難しい」と言われるほどに、そのスタイルは市内の少年サッカーに浸透しているようだ。さらに安倍監督は話しを続ける。
「そもそも、伊勢原トレセンの基盤をつくるときには、いろいろな地域のトレセンにお願いをして勉強をさせてもらいました。各地域トレセンの良いところを、伊勢原のスケールに落とし込んでいます。それぞれの地域の特徴や風土、そこに住む人たちの価値観も子どもたちを取り巻く環境も違いますが、サッカーの裾野を広げていくことに関しては学ぶことが多いですよね」
かつて、地区トレセンに“選抜のイメージ”が強く残っていた時代には、地域同士が手の内を見せない雰囲気もあったというが、今は積極的に交流が行われている。なかでも安倍監督にとって、厚木トレセンへの思いは強い。そこには神奈川県サッカー協会の岡本周治4種技術委員長の存在があった。
「岡本さんは厚木トレセンも指導されているのですが、僕が小さい頃からお世話になっています。僕が指導者として伊勢原で活動するようになった時に、とてもサポートしてもらいました。厚木トレセンには1~2年間ぐらい出入りをさせてもらい、トレセン活動の深いところまでみせていただきました。本当に感謝しています」
地元・伊勢原市出身の安倍監督、いつもは伊勢原市内の小学校で教員を務めている。父親が、やはり伊勢原市の成瀬サッカー少年団の指導者であったこともあり、高校生のときにプレーヤーとして上手くいかず、サッカーから離れかけていたときに、指導者としての道を示してくれた。指導者の道を志すと決めたとき、橋上伸介氏(現:神奈川県サッカー協会・第4種少年少女部会長)ら、現在も神奈川県サッカー協会の中心となって活躍している人物に出会った。「そういった環境の中で僕は育ててもらった。だから、今度は自分が、神奈川のサッカーに寄与することができるような活動や協力をしたい」と思いを口にした。
「伊勢原トレセン出身の高校生や大学生が(サッカー選手としてだけではなく)指導者として手伝いにきてくれます。かつて自分の所属していたチームよりも広い関係性のもてるトレセンという環境の中で、高い意識でサッカーに取り組んでいる子どもたちに対して、これまで自分の体験してきたことを伝えたいという選手もたくさんいると思います。地域トレセンはそういう子の受け皿にもなるわけです。競技サッカーの一線を退いても、指導者として、または審判として帰って来ることのできる場所。それをつくってあげることも、僕の夢であり、目標でもあるんです」
安倍監督の教え子で、現在大学サッカーのプレーヤーがいる。将来は小学校の教員になって「先生と一緒にサッカーの指導をしたい!」と夢を語ってくれたのだという。こんな時「サッカーというスポーツが歳月を超えて、全てをつなげていくことの素晴らしさを感じた」と安倍監督。伊勢原トレセンを生涯続け、伊勢原から未来へ羽ばたく選手の育成を誓った。
【前編】地区トレセンの今。「強化や選抜が目的ではない」伊勢原トレセンの取り組み
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