サガン鳥栖が高円宮杯U-15チャンピオンに!! ジュニアユース年代の全国タイトル二冠を達成/決勝レポート
2017年12月29日
大会情報12月28日(木)、「高円宮杯 第29回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会」は味の素フィールド西が丘(東京都北区)で決勝があり、サガン鳥栖U-15(九州1/佐賀県)がFC東京U-15深川(関東2/東京都)をPK戦の末に破り、優勝を飾った。
(文・写真●山本浩之)
この優勝はあくまで「通過点」
先制したのはサガン鳥栖U-15だった。開始早々2分、センターサークル付近でボールを奪った7番・西村洸大選手のスルーパスに反応した9番・田中禅選手がペナルティエリアの手前から打ち込んだシュートは、ゴールキーパーの手を弾くとゴールマウスの中へと転がっていった。
しかし、前半終了が近づいた37分になって、FC東京U-15深川は、相手ゴールキックのボールを8番・安田虎士朗選手から7番・笹沼航紀選手につなぐと、笹沼選手の繰り出したふわりと浮かせたボールは、相手ディフェンスラインの裏へと落ちた。そこへ走り込んできたのは18番・青木友佑選手。放たれたループシュートは、飛び出してきたゴールキーパーの頭上を越えてゴールネットを揺らした。FC東京U-15深川は、これまで威力を発揮していた笹沼選手から青木選手というホットラインで追いついた。
振り出しに戻った後半は、両チームとも譲らず、スコアは1ー1のままで動くことはなかったが、10分ハーフの延長に入ると、エンドの切り替わった後半になって、FC東京U-15深川はフリーキックのチャンスを得る。ペナルティエリア内に放り込まれたボールを18番・青木友佑選手がヘディングで折り返すと、腕にキャプテンマークを巻く5番・常盤亨太選手が頭から飛び込んで勝ち越しに成功した。
だが、試合はこれで終わらなかった。残り時間が少ない中での失点にも、サガン鳥栖U-15は下を向くことなく相手ゴールに迫って行くと、アディショナルタイムになって、相手ペナルティエリア内で間接フリーキックを獲得。一度はゴール前の壁に跳ね返されたが、4番・坂口眞汐選手がこぼれ球に反応して同点弾を決めた。
やがて、2-2のままで延長が終了。PK戦での決着となると、両チーム、5人目のキッカーまでゴールを成功させた。6人目以降は、先攻のFC東京U-15深川は決めなければ、後がなくなる苦しい状況に追い込まれるが、そのFC東京U-15深川の6人目のキックはゴールポストを直撃してしまう。これでサガン鳥栖U-15としては決めれば優勝という有利な立場となったのだが、FC東京U-15深川のゴールを守る1番・熊倉匠選手に阻まれてしまう。
次いで7人目のキッカーの出番となったが、今度はサガン鳥栖U-15が、PKには絶対の自信を持つというゴールキーパーの12番・永田優斗選手が好セーブをみせた。1点リードしたサガン鳥栖U-15 。優勝を決めるキッカーは、同点ゴールを決めた4番・坂口眞汐選手に託された。坂口選手はゆっくりと助走をとると、蹴り込まれたボールはゴール右隅へと吸い込まれていった。
間もなく、主審の両手が冬空に向かって真っすぐ高く上げられると、サガン鳥栖U-15の優勝を告げる長いホイッスルの音が「味の素フィールド西が丘」に響き渡った。
中学校の卒業を控えた3年生の選手にとっては、来年度からユース年代への挑戦が始まる。高校サッカーを選択する者、他のクラブチームへと進む者、あるいは、そのまま現所属チームのユースに上がる者など様々な進路があることだろう。
準優勝となったFC東京深川の太田匡人監督は「選手は本当によく頑張りました。最初は、メンバー外になって不貞腐れる選手もいたのですが、(大会が始まると)気持ちを切り替えてサポートをしていました。みんな、チームが勝つために、チームに貢献する意識を高く持っていたので、それぞれ別れても忘れないでもらいたい」と思いを口にした。選手たちには「必ず、味スタ(FC東京のトップチームの選手としてホームスタジアム)に戻って来い!」と伝えたという。
優勝したサガン鳥栖U-15の田中智宗監督は「選手たちが二冠を取ったことで、変なプライドを持ったり、やり切った満足感に浸ったりするのであれば、勝たなかった方が良かったと思います。(自分の)やってきたことが、こういうふうに実を結ぶんだということを体験して、自信を持つことができて、それが将来につながるのであれば本当に勝って良かったと思います」と話す。教え子たちのサッカー人生は、ここから先の方が長い、この優勝は「通過点」なのだと慢心することをいさめた。
【決勝試合結果】
■決勝
サガン鳥栖U-15 2ー2(PK:6ー5) FC東京U-15深川
<関連リンク>
高円宮杯第29回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会
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