湘南ベルマーレ・曺貴裁監督が指導者として貫く信念。「同じ練習メニューは組まない」

2018年02月06日

コラム
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湘南ベルマーレは2017年にJ2で優勝を飾り、J1復帰を果たした。指揮官を務めた曺貴裁監督は就任6年目を迎えたこのシーズン、選手を育成し、より強靭なチームを作り上げた。「同じ練習メニューは組まない」という曺監督の”指導論”とは何なのだろうか。そこに、湘南ベルマーレが昨シーズン”強さ”を発揮した秘密があるのかもしれない。

『育成主義 選手を育てて結果を出すプロサッカー監督の行動哲学』より一部抜粋

著●曺貴裁 再構成●ジュニサカ編集部 写真●松岡健三郎、Getty Images


HIRATSUKA, JAPAN - OCTOBER 29:  Head coach Cho Kwi Jae of Shonan Bellmare lifts the trophy as they celerbrate J2 champions and promotion to J1 after the J.League J2 match between Shonan Bellmare and Fagiano Okayama at BMW Stadium Hiratsuka on October 29, 2017 in Hiratsuka, Kanagawa, Japan.  (Photo by Matt Roberts - JL/Getty Images for DAZN)

「一期一真剣」

 昨シーズンのJ2優勝を決めた、10月29日のファジアーノ岡山との明治安田生命J2リーグ第39節を終えた後のロッカールーム。ベンチに入らなかった選手たちやスタッフも含めて、湘南ベルマーレに関わる全員で喜びを分かち合っているときに、こんな言葉をかけられた。

「試合に出ている選手と出ていない選手が、こんなにも同じ空気で練習しているチームに所属したのは、プロになって初めてです」
 
 声の主は7月に大宮アルディージャから完全移籍で加入した、元セルビア代表の肩書を持つFWドラガン・ムルジャ(17年シーズン限りで退団)だった。
 
 ユーゴスラビアの名門レッドスター・ベオグラードでプロのキャリアをスタートさせ、ベルギー、ロシア、スイス、セルビアでいくつかのクラブを渡り歩いてきた経験豊富なストライカーは、ベルマーレという新天地を新鮮な驚きをもって受け止めてくれていたようだ。

 川崎フロンターレのアシスタントコーチに就任して、指導者としての道を歩み始めた00年シーズンから、ひとつの目標を標榜してきた。最近になって、ある造語と化して僕のなかでより具現化されている。

 それは「一期一真剣」――もしかすると二度と会えないかもしれない覚悟で人との出会いを大切にする、という意味のことわざの一期一会を、自分なりにちょっとだけアレンジしたものだ。

 その時々に出会った選手たちと真剣に対峙しよう、という思いを込めた。特にプロクラブの監督になった12年シーズンからは一期一会だけでは終わらない、まさに「一期一真剣」のようなマインドがなければ責任を果たせないと思い続けてきた。

 いろいろなものに導かれて、僕と選手たちは同じクラブの一員となる。1年後には一部の選手と別れ、新たな出会いが訪れるサイクルのなかで、難しい仕事かもしれないけれども、1年間という時間を所属した全員にとって充実したものにしてあげたい。

 公式戦のベンチに入れる人数が18人と決まっている以上は、当然ながらピッチに立てない選手も出てくる。それでも、全員が日々の練習で身心ともに充実しながらサッカーに向き合えれば、試合に出る、出ないという状況に対する選手たちの受け止め方も違ったものになってくるのではないか。

 もちろん常に笑顔を浮かべながら、和気あいあいと楽しく練習してきたわけではない。悩みや苦しみを抱いていたときのほうが多いかもしれない。それでも選手たちの一挙手一投足から、あるいはちょっとした変化から何を思っているのかを感じ取ることを、仕事のひとつとして課してきた。

 17年は対象となる選手の一人に、シーズンの途中からムルジャが加わった。僕はベテランなのか、若手なのかをまったく気にしない。日本人なのか、外国人なのかも然り。ベルマーレというクラブの力の源と位置づけてもいい、自然に宿った雰囲気をムルジャが感じてくれたことは素直に喜びたいと思う。

(中略)

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