Jクラブはどう地域と共存すべきか。湘南ベルマーレが行う「育成の価値観」を共有するための取り組み【短期連載】
2018年03月28日
コラム
指導者がサッカーとは何かを見つめることが子どもの成長のため!
――浮嶋さんがおっしゃるとおり、海外クラブと比較した場合、日本人が劣っているのは間違いありません。シュートについてはジュニア、ジュニアユース、ユースととらえると、シュートの絶対数が違えば身につくものに差が出るわけですから。
浮嶋「ブラジルはジュニア年代でフットサルと取り入れていますが、パルメイラスの選手たちは数多くシュートを経験しているからGKと対峙したシュートも落ち着いているし、引き出しの数が多いです。蓄積値に違いがあるから本当にうまい。DFが前にいてもゴールを入れてきますから」
――ゴールがないと育つポジションも変わってきます。
浮嶋「良いゴールキーパーの育成をするためには良いシュートをたくさん受けなければ育ちません。最初に言ったことと重複しますが、『奪う』がないから『攻撃』のスキルが上がらないのと同様に、シュートを打たないからGKも育たないんです。そういう部分に着目していかないと、様々な課題の根本的な解決はできないと思います」
――『COPA BELLMARE』に出場しているパルメイラスをはじめとした海外クラブの指導者の目に日本人の子どもたちはどのように映っているのでしょうか?
浮嶋「毎年その質問はぶつけます。すると、同じような返事が来ます。
・自分から発想してプレーしていない。
・サッカーのプレーを決めつけている。
・何かが邪魔して動けていないように見える… etc.
特に南米はチームスタイルがしっかりあるけど、個は出せています。圧倒的に個が際立ちますが、個々の切り替えが早く集団で奪うことも攻めることも優れています。
私はボールを扱うテクニックに差はないけど、状況に合わせてそれを適切に使う判断スピードには差があると思っています。
その差は何かといえば、日本人の指導者は『器用さがテクニックである』とイメージしてしまいがちで、一方彼らはテクニックを『試合の各局面で判断を伴った技術』と定義しています。根本的に、テクニックの定義と使い方が違うのではないでしょうか」
――日本人は技術を磨くことは得意ですが、使い方が下手です。
浮嶋「日本の子どもたちはテクニックをただ使いたいからプレーしているように映ることがあります。どの場面、どのタイミング、どの距離感で使うのか。状況に対する概念が欠けているように見えますし、指導者もそこを問いかける必要があります。
海外の指導者は、『まずはやらせる』、そしてその中で『この子は何を考えているのか』を観察しています。海外の選手はまずは自己主張をして、自分の考えを表に出しているので、発信をしない日本人の子どもたちを目にすると『何かが邪魔して動けないように見える』のではないでしょうか。
そういうことを含め、湘南地区の風土を考慮したときに『COPA BELLMARE』という国際大会を開くことがいいと思ったんです」
湘南ベルマーレの選手たちが「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017」で見せたプレーは質の高いものだった。その理由はトレーニングに関することはもちろんだが、インタビューの中で語られた育成する仕組みや環境といった多岐にわたるものが関連しているものだった。あらためて、子どもたちの育成とは何かを考えるキッカケになればと思う。
■ 第1回
「どうサッカーを捉え、指導に落とし込むか」
■ 第2回
「バルセロナとの戦いで、自分たちの課題をどう見たのか」
■ 第3回
「才能をどう発掘し、どのような仕組みで育てているのか」
<関連リンク>
・U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017
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