新年度だからこそ改めて考えたい「目標設定」。サッカーの上達だけが目的ではない
2018年04月22日
メンタル/教育全員がチーム作りにかかわる状況を指導者が作る
「新チームとしてスタートを切る際、どこも目標を決めると思います。ただ『○○大会優勝』という設定をしても、肝心なのはそれを達成するためにどう戦うのかということです。たとえば『球際を厳しく戦うチーム』だと決定すれば攻守の方向性がイメージできるため、そのためにどうプレーすべきかというルールが生まれていきます。
それがチームの規律になるわけです。相手へのチェックが甘い選手には『もっと寄せよう』と声をかけられるし、そこが全員の共通理解として深まっていきます。しかし、日本の社会背景も関係していますが、意見の内容より『誰が発言したのか』で組織としての方向性が左右されることが多々あります。
育成年代の場合、私は指導者がファシリテーション・スキルを持つべきだと考えています。心理学的に、人間は声が大きな人に引きずられる傾向にあります。だから当然、サッカーがうまい選手は自分の思いを一生懸命に話し、声も大きくなりがちです。もちろん、そのこと自体は悪いことではありません。
だから、名前を伏せて『チームでどんな戦いをしたいか』を紙に書かせてみんなの前で広げて、いい意見をピックアップして話し合いをするとか…。指導者はチームとして何がいいのかをフラットな状態で見られる環境づくりに注力した方がいいと思います。全員がチーム作りにかかわる状況を作ることが、少しずつ積極的に意見交換ができる人材を育てることにもなります。結局、これがセカンドキャリアの予防教育の一環にもなっています」
できないことではなく、できることにフォーカスしたり、できるような環境を作ることが、選手にとって自信の積み重ねになる。それはサッカー選手としても、人間としても器を大きくすることになる。
だからこそ、目標を立てることが重要だ。自分で、またチームで決めた目標に対して毎回、反省を繰り返すことが前進への第一歩である。これは人生に生かせる不変のスキルなのだ。
プロフィール
椎名 純代
千葉県出身。アスレティックカウンセラー。『Good Sport association』代表。州立ユタ大学からスプリングフィールド大学大学院へ進み、アスレティックカウンセリングを専攻。卒業後、さまざまな企業などで講師をし、2010−2014 年に『川崎フロンターレ』でアスレティックカウンセラーを務める。現在は、ラグビートップリーグ『クボタスピアーズ』で通訳兼ファシリテーターとして活躍。
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