「行きたくない」の一点張りだったイニエスタ。知られざるバルサ入団の秘話【前編】

2018年05月21日

サッカーエンタメ最前線

「お父さんが喜んでくれるなら、自分はバルサに行く」

 しかし8月の終わり、小さなアンドレスは、大きな一歩を踏み出すことを決意した。

「私は4ヵ月もの間、バルセロナに行って同じレベルの子どもたちとプレーをすることが、お前にとって最良の選択なのだよと息子を説得しました。上達するには、それが一番良い方法だと教えたのです。あまりしつこくは言いたくありませんでしたが、それでも息子が一人で生活することへの恐怖を克服できるようにいろいろと話しました。そして、何があっても私たちはいつもお前のそばから離れないよと言いましたね」

 そして、小さなアンドレスはついに決意を固めた。

「ある日、息子が私のところへやってきて、まだバルサ行きに間に合うのなら行くと告げてきました。私をがっかりさせたくないから、私のために行くと言うのです。『お父さんが僕ならばやれると信じてくれているなら、お父さんが喜んでくれるなら、自分はバルサに行く』と。正直、息子の言葉に私は驚かされました」

 こうしてイニエスタは、1996年1月に12歳でバルサのカンテラ選手の一員となった。

「私は、行くと決めたからには最低でも1年は留まるようにと息子に言いました。学校のこともありますし、シーズン途中で帰ってきてはならないよと強く伝えました。そして息子と、少なくとも翌年の夏まではバルセロナに残ると約束したのです。その後のことはそのときに考えようと二人で話しましたね」

 “そのとき”から、14年が経過した。イニエスタはもう人生の半分以上をバルセロナで過ごしている。悲しくて泣いた初めの数ヵ月は、もう遠い過去だ。今やイニエスタはバルサ、そしてスペイン代表で不動の先発メンバーに定着し、すべてのタイトルを勝ち取った。

【後編】“あのゴール”から始まったバルサの伝説。イニエスタがスペインで愛される理由

BARCELONA, SPAIN - MAY 20:  Andres Iniesta of Barcelona at the end of the La Liga match between Barcelona and Real Sociedad at Camp Nou on May 20, 2018 in Barcelona, Spain.  (Photo by Quality Sport Images/Getty Images)


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【商品名】バルサ選手のジュニア時代 家族の愛に支えられ夢を叶えた者たち
【著者】シーケ・ロドリゲス・ガイリ
【監修】浜田満
【翻訳】仲野美櫻
【発行】株式会社カンゼン

バルセロナで活躍するメッシ、イニエスタ、チャビ、ピケなど8人の選手の少年時代に迫る!息子たちの成功を陰で支えた親たちが語る知られざる家族の愛の物語。

バルサの育成組織カンテラで育ち、トップチームで活躍する選手たちは、幼い頃からビッグクラブでのプレーを夢見ていた。そんな彼らはどのような少年期を過ごし、どのようにしてトップチームへの階段をかけのぼっていったのか。


 

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