「行きたくない」の一点張りだったイニエスタ。知られざるバルサ入団の秘話【前編】

2018年05月21日

サッカーエンタメ最前線

父親譲りの非凡な才能

 現在、イニエスタは次々にタイトルや記録を物にしている。母はそのどれもが思い出だと言って、一つずつ丁寧に保管しているという。

「息子に関する記事や写真をすべて保管してあるのです。今は息子の活躍が当たり前のように思えるかもしれませんが、あと数年も経てば、きっとかけがえのない思い出になりますから」

 イニエスタが大のサッカー好きであるのは、父譲りだ。ホセ・アントニオは若い頃、地域リーグで活躍した選手だった。プロとしては活躍しなかったものの、それでもサッカーは上手かったという。

「その地域では、息子同様に中盤の選手としてプレーし、他の選手とは一線を画していましたよ。でも、息子の方が上手なのは言うまでもありませんし、息子の方が人格者です。息子は私を大きく上回ったのです。それに、アンドレスがピッチ上で私よりも“いい人”であることを認めなければなりません。私はピッチではすぐにカッとなってしまうタイプでした。しかし、息子はいつも冷静で、調子に乗ったりするようなことが一度もありません。人々は息子のそういう性格を評価してくれています」

 ホセ・アントニオの言うとおり、イニエスタが誰よりも称賛されるのは、その人柄に理由がある。

「息子は聞き分けが良く、責任感の強い子でした。物事をきちんとやり遂げるタイプなんです」

 その一つの例がサッカーであり、もう一つが学業だ。イニエスタはサッカーに励む傍ら、大学に通っている。ブランケルナ大学で体育学を専攻しており、英語も勉強中である。「学校で問題を起こしたことは一度もありませんし、一生懸命に勉強していたので成績も良かったです」

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